いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

名画の謎 対決篇

 

名画の謎 対決篇 (文春文庫 な 58-7)

名画の謎 対決篇 (文春文庫 な 58-7)

 

2018/09/05読了。
大好きな中野京子先生の「名画の謎」シリーズ4作目。
今回は紹介の仕方が面白かったです。

 

「対決篇」と銘打たれた今回、どれも二枚の絵を比べての解説となっています。
実際にその画家同士がバトルしたとか、描かれた対象がライバル同士だったとか、そういう「対決」ではありません。
中野先生が思う「対決」構造になっているのが面白い。

 

例えば、同じ場所を描いた絵画を二枚の絵画を紹介している場合。
同じ場所なのに、一方は昼、一方は夜、それぞれの雰囲気の違いが作者の作風の違い以外からも際立って伝わってくる。
しかも、その雰囲気の違いに隠された背景を知ると、絵を見る視点がより深く深くなっていくという。

 

例えば、同じく自画像と妻の姿を一枚に描いた二人の画家の話。
お互い美人で裕福な妻を娶ったが、若くして先立たれてしまった点は同じ。
ただ妻を亡くしてからの人生が大きく異なります。
片方は成功者、片方は没落へ(後に成功はするけれど、不孝の連鎖が続く)
どうしてこうなった!

 

という訳で、実際にバトルしていたりライバル関係にあったりとい訳ではないのですが、比較することでそれぞれの作品をより深く味わえる点は、流石中野先生。
しかも様々なパターンの「対決」が用意されているので、読んでいて全く飽きません。
無論、今回も紹介されている絵画は全てカラーで掲載されています。

 

個人的には、表紙にもある「麗しの王妃」の話と「海難の恐怖」の話が印象的でしょうか。
絵が好みというのもあるのですが、悲劇性とメッセージ性が強いというのもあって。
特に後者は中野先生も書いていらっしゃいましたが、某国の海難事故時に真っ先に逃げ出した船長の話を思い出して、余計に印象的でしたし。

 

本編もオススメですが、個人的には解説もオススメ。
「怖い絵展」の裏側についても書かれているので、あの展覧会を見に行った方は、この解説もぜひ熟読を。
スタッフと先生のこだわりが分かりますよ。