いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

ガーデン・オブ・フェアリーテイル 造園家と緑を枯らす少女

 

 

2018/09/01読了。

 

何とも不思議な物語でした。
触れた植物を枯らせてしまう呪いというファンタジー要素を持ってしまった主人公の少女。
出だしで「ああ、これはがっつりファンタジーの話か」と思わせておいて、割と現実的な不幸も彼女を襲う。
たった一人の肉親だった父親との死別に、ストーカー被害。
しかも、父親の死後に自分が結婚させられていたことを知る。
いざ、その夫の元を訪ねてみるが、出迎えてくれた青年に追い出されそうになる始末。
紆余曲折を経て、何とか居座ることに成功はするが、夫は造園をしながら「妖精絡み」の問題も解決する仕事をしているという。
しかも、何故かストーカー被害まで夫のところまでついてきて……

 

ファンタジー要素と現実世界の要素が交互に襲い掛かってくるので、読んでいて非常に混乱しました。
現代ファンタジーではあるのですが、妖精の問題を解決する術は割とがっつりミステリですし。
夫との話になると、途端に恋愛ものにもなりますし。
だから、自分はどの世界観に立って読むべきなのか、ちょっと戸惑ったと言いますか。
ファンタジーか、ミステリか、恋愛か、どれかにがっつり振れてくれているといいのですが、どれも中途半端というか。
そして、全体的に非常に空気が重い。
妖精というファンシー(?)なネタを扱っている割に、重くて鬱々する感じです。
それがまた味でもあるのですが。

 

しかも、ファンタジーでミステリで恋愛というこの物語の世界観を一気に集約した権化が、この夫という。
終盤に彼の正体について、とんでもない事実が発覚します。
ここから嵐のようにファンタジーでもありミステリでもあり恋愛ものでもあるという振れ幅がより大きくなって、こちらも大いに戸惑うという。
この急展開についていけませんのことよ。
しかもついでに、ある人物(※夫ではない)のえげつなさまで暴露されてしまうので、こちらの精神的ライフポイントはもう残っていない有様。
その事実の暴露は正直いらなかった。
確かに、伏線はあったと思うのですが、夫のことで精一杯なのに、その事実まで受け止める余裕はこちらには残っていなかった。

 

ネタバレを承知で端的にこの話をまとめてしまうと、文字通りの「フェアリーテイル」でした。
おとぎ話という意味ではなく、「妖精の物語」でした。
何故こういうタイトルになったのか、最後まで読めば分かるという仕様は凄いと思います。
ただ、如何せん癖が強い作風な気がするので、好みは割れそうな気がします。
少なくとも、自分はもう一回読み直せる気はしない。

 

あ、呪いのことについて述べ忘れた。
主人公の少女もその身に生まれながら持ってしまった「妖精の呪い」も、今作では重要な要素になります。
最初は依頼人の呪いを解決していたのですが、そのうち、少女自身の、そしてある人物自身の呪いを解く話にもなっていきます。
これがまた、自分たちの呪いを解くとなると、すんなり成功しないのがもどかしい。
この挫折から、終盤の怒涛の展開に読者側は巻き込まれる訳ですので、読む際は心づもりをどうぞよろしく。