いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

純真を歌え、トラヴィアータ

 

純真を歌え、トラヴィアータ (メディアワークス文庫)

純真を歌え、トラヴィアータ (メディアワークス文庫)

 

2018/03/27読了。

言葉だけでは表現しきれない筈の「音楽」

その音楽の音色や雰囲気、伝わる感動をよくもここまで表現してくださったと思える素敵な作品でした。

 

夢と現実とのギャップに苦しむ話だけれど、これは音楽に限らず誰しもがぶつかる壁。

結局は「できない」から諦めることが多いであろう中、「できるできない」ではなく「やりたいか違うか(やりたくないか)」で判断しようとした作中のとあるキャラの考え方が非常に目から鱗でした。

プロを目指しての挫折は本当に苦しいけれど、挫折してスパッと諦めるだけが選択ではない。

その道と今後どのように向き合うかは人それぞれ。

心が悲鳴を上げる前にその折り合いをどうつけるか。

音楽の話だけでは済まない、読んでいて非常に考えさせられる物語でした。

自己啓発本だったかしら、この作品。

 

主人公はその答えを出すのに時間はかかったけれど、今後もきっと変わらないであろうものを見つけられて、無事に立ち直ることができて本当によかったです。

この復活する場面が本当に一枚の絵画を見ているかのような美しさで、思わず感嘆のため息が漏れました。

音楽の話なのに絵画とは(哲学)

いやもう、本当に観客が一人というのが勿体ないくらいで……あの場面は本当にぜひ読んで欲しい。

きっとこれは挫折を経験した人への希望の物語になるので。

 

それにしても、ヒーローは色々気付かされなさすぎて不憫でした。

周囲は気付いているのにね。

主役二人の関係も非常にニヤニヤ……もといドキドキさせられたので、いつか何処かでその関係にも決着がついた話も読んでみたいです。

その時は是非「純愛を歌え、トラヴィアータ」とか、「初恋を歌え、トラヴィアータ」とかで出して欲しい(考え方が安直)

今回、主人公は音楽との付き合い方に悩むことでいっぱいいっぱいだったから、その他のことに目を向けている余裕はなかったでしょうし。

 

そう、この主人公が、うじうじ悩んでいる割に、不器用でストイックで天然で鈍くって、結構力持ちなところがギャップ萌えで素敵でした。

そう、結構他の部分が淡白というか、悩んでいる内容に比べて性格はじめじめしていないところが、非常に好感が持てました。

お陰で不必要に重くなりすぎず、読んでいて心地よいシリアスさでした。

そういう意味でも塩梅が非常に見事な作品だったと思います。

前作とはまた雰囲気の違う作品でしたけど、こちらも大好きな作品となりました。

やっぱり続編読みたいなあ。

お願いしますよ、メディアワークスさま。