いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

死香探偵 尊き死たちは気高く香る

 

死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る (中公文庫)

死香探偵 - 尊き死たちは気高く香る (中公文庫)

 

 

2018/02/10読了。

これまた変態というか、Mr.キュリーとは違う方向性の変人化学者でありました。
化学に対して純粋というか真摯ではあるのだけれど、おぼっちゃんということもあって、少々考え方がずれている。
しかも、自分のその発言の意味をよく考えずに口に出しているところもあるので、下手すると主人公と男色に見える場面も。
イケメンと女顔の小さな主人公(※男性)変なお嬢さんたちが騒ぐぞ。

 

死臭が(作り物めいた)食べ物の匂いに感じられ、その死臭を嗅ぎ続けると代償としてその匂いのする食べ物の匂いが不快な臭いに変わるという難儀な体質もちの青年が主人公のミステリ。
この代償が結構エグい。


例えば、ある死臭は鰹だしの匂いがしていたけれど、例の変人化学者につき合って殺人事件に関わってその死臭を嗅ぎ続けた結果、鰹だしの匂いがする和食全般が(臭いが酷くて)食べられなくなってしまったという。
彼、別件でご飯の匂いもダメになったから、何食べて生きればいいんだという状態。
自分だったら耐えられない。


それでも彼は体質改善という建前(本当に建前)で協力して欲しいという変人化学者の研究につき合っていきます。
彼、いい子だよな。


それにしても、この発想、どこから思いついたんでしょう、喜多先生。
まあ確かに化学やってる人たちは、匂いでどの薬品か当てるなんてことできるようになると言いますが(自分も多少できる)

 

殺人事件のパターンが自殺か他殺か分からないもの、連続殺人事件、2つの殺人事件が交錯するものなど多種多様なものがあり、やや失敗する流れがあるのもあって面白いです。
化学は万能ではない、完璧な人間はいないと見せつけるところが、ただのご都合主義で終わってなくていいです。

 

ただその割りに、警察がやけに協力的すぎるところに違和感がありました。
4話目だったかに、やっとこの匂いによる殺人事件調査に否定的、非協力的な刑事さん出てきて、逆に安心してしまったくらい。
先生のバックがでかいというのもあるのですが、警察さん、民間人な先生にそんな協力的でいいのかしら。
できれば、協力的である刑事さんとの馴れ初め話も読めたらなと思います。
初対面は是非否定的であって欲しい。

 

バリエーション豊富な殺人事件の中、個人的には最後の連続殺人事件が面白かったですね。
犯人が使ったトリック(これが殺人を行うトリックではなく、ターゲットを決めるトリックというところも面白い)も多少化学をかじっていれば先読みできる内容だったので、自分の考えが当たって嬉しかったというのもあって。
取り敢えず、ネタバレになるので詳しくは言えませんが、ゴミのポイ捨て止めましょうと強く言いたい。

 

この化学ミステリも本当に面白かったので、是非シリーズ化を望みたいけれど、そうなると主人公の彼の食べられる物も減っていくので心苦しい。
体質を完全に治すとまではいかないにしても(そもそも先生が能力喪失を認めてくれないから無理)せめて代償が軽減されることを祈るばかりです。
どうにかならないものか。
先生には頑張って欲しいです。
多分言わなくても嬉々として研究してくれそうではあるけれども。