いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

王家の裁縫師レリン 春呼ぶ出逢いと糸の花

 

王家の裁縫師レリン 春呼ぶ出逢いと糸の花 (角川ビーンズ文庫)

王家の裁縫師レリン 春呼ぶ出逢いと糸の花 (角川ビーンズ文庫)

 

 

2017/11/24読了。

女学校に通いながら裁縫師になることを夢見る少女の学園ストーリーであり恋愛ストーリーなのだが、前半と後半の落差がいい意味で凄い。

 

前半は前述通りの学園もの。
女学校で多少の身分格差によるトラブルはあるものの、気の置けないクラスメイトたちに囲まれて和気藹々としていたり、少し不思議な転入生と仲良くなったり、彼女の正体を知らされ騒動に巻き込まれてしまったり。
そして密かに生徒達の間で「王子様」と称される騎士さまと親密になって、デートしてみたりして、何とも明るく華やかな雰囲気。

 

ところがどっこい、後半になると、シンデレラも裸足で逃げ出すような展開が待ち受けている。
この落差が凄い。
なまじ前半がきらきらした雰囲気なので、後半の展開は光から一気に闇へ突き落とされたかのような衝撃がある。
急に家から退学を命じられ連れ戻される主人公に待ち受けていたのは、絶望。
外に出ることも許されず、養父たちによる飼い殺し。
ただ裁縫が好きで、夢を叶えたいだけの少女に降りかかる展開としては非常に苦しく重い。

 

そんな彼女を助けるのは、無論「王子様」な騎士さま。
そして女学校で手に入れていた仲間たちも、彼女のために立ち上がってくれた。
そこからの展開は、前半とはまた違った明るさと清々しさがある。
悪は完膚なきまでに滅び、彼女は未来の可能性を自分の力と仲間の協力で手に入れる。
気持ちのいいラストである。

 

恋愛面では、主人公に最初からやたら甘い騎士さまとは昔から縁があるという、ある意味王道で、ある意味意外性はない展開だったけれど、その縁を最後の最後で(忘れていた)主人公本人に騎士さまから伝えるというのは、個人的に意外だった。
大体この手のことは、読者側には知らせるけれど、本人には随分後になってから発覚するとか、しないままであることも多いのだけれど、「おいおい、おまえここで言っちゃうのか!」とツッコミを入れたくなるほど。
まあ、恐らく彼自身が我慢できなかったのでしょう。
後半が辛い展開だったのを忘れさせるような甘い展開がきて、そっちにもびっくり。
恋愛ものとしても気持ちのいいラストである。
気持ちいいを通りすぎて甘すぎるかもしれないが、まあそれはさておき。

 

サブキャラクターも魅力的。
クラスメイトや転入生は勿論のこと、一番気になったのは堅物の黒い騎士さん。
序盤は特にただの物騒な人だったのが、途中で色々キャラが立ちまくったので。
フラグを色々立てたとも言える。
彼と、彼が敬愛し、また彼のことを好ましく思っている某お方とのロマンスも見てみたい気がする。
色々常識はずれな展開にはなりそうだけれど。
主人公カップルよりある意味気になる。