いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

雨あがりの印刷所

 

雨あがりの印刷所 (メディアワークス文庫)

雨あがりの印刷所 (メディアワークス文庫)

 

 

2017/07/24読了。

以前何回か印刷所さんに本の印刷をお願いしたことがありましたが、なるほど裏側はこうなっていたのかと興味深く拝見。

オフセットとオンデマンドの違いなども、作中で主人公が分かりやすく解説してくれてありがたかったです。

大きな印刷所ではなく、個人の小ぢんまりとした感じのところがまた雰囲気がよかったです。

メインは活版印刷ですしね。

 

印刷会社の仕事で失敗して故郷の岐阜に帰ってきた主人公。

兄の喫茶店で時間を潰す中、彼の元には何故か印刷に関わる話が舞い込んでくる。

自費出版の詩集の再生。

危機的状況の和菓子屋を救うチラシ。

そして、世界でたった一冊の写真集。

それらを作る中、主人公はこれからの自分についても見つけていく……

 

本好きなら誰でも食いつくだろう本の印刷に関わる物語。

しかも印刷所で働く人たちの話ではなく技法の方(昔ながらの方法が登場することが多い)に重きが置かれていて、その点が個人的にはよかったです。

ただのお仕事小説ではないので。

 

また最初の話はさておき、チラシや写真集の話は、起死回生をかけた印刷になったけど、必ずしも現実は上手くいかない(すぐには結果が出ない、間に合ったけど奇跡は起きなかったなど)厳しい現実や挫折といった要素も入っていて、ただのご都合主義な話になっていないのもいい。

そこからの逆転や再生話もあるので、救済もあります。

だから、辛い話でも読後感はいいです。

特に最後の話は、展開が展開だけに泣けますよ。

 

すっかりデジタルばかりになった世の中ですが、活版印刷の温かみや一枚一枚手で刷る印刷物のありがたみが感じられる一冊でした。

昔ながらの印刷もいいものですね。