いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

六道先生の原稿は順調に遅れています

 

 

2017/07/17読了。

メディアワークス文庫であやかしもののシリーズを書かれている峰守ひろかず先生の初富士見L文庫作品。

無論、今回もがっつりあやかし、というか妖怪ものです。

作中では「物ノ気」(モノノケ)と呼ばれる方が多かったですが(妖怪になる手前の幼生という定義だった)

 

大御所の小説家に「やらかした」せいで憧れの文芸編集者をやめなければならないかと思っていた詠見だが、倒れた編集者の代理として、あるベテラン作家の担当編集者となる。

そのベテラン作家、六道先生だが、見た目はどう見ても18、19歳の青年にしか見えない。

それもその筈、実は彼は「妖怪」だった……

 

今回も男性が非人間、女性が人間のペア(「陰陽課」がそれに該当)でのあやかしものに、小説出版お仕事ものも追加された読み応えのある作品でした。

西新宿周辺に実在する伝説や伝承に、怪異や現代社会での苦労、出版業界での苦難を絡めてあって面白い展開でありました。

今回の妖怪の定義がまたいつもとは違う解釈なのも凄い。

 

あやかしものとして読んでも面白いのですが、ヒロインが編集者ということもあって、出版業界の表裏みたいなものも垣間見えたところも興味深かったですね。

編集者と作家さんの関係性や、編集者さんの本音や仕事ぶりなどなどが描かれていることもありまして。

「作家なんて妖怪か宇宙人だ」と言い切っちゃう編集長にも笑いましたし(その発想は実際の小説家さんじゃないと出てこないと思う……というか言えないと思う)

中堅出版社なのにメンツが何とも濃いところもいい。

他のメンバーを絡ませても話が広がりそうです。

 

今回は民間伝承から発生したあやかしがメインだったせいか、古くからいる大妖怪は出てこなかったように思います。

名前のある妖怪も、比較的歴史の浅い妖怪がメイン。

実は六道先生の正体もそうなのですが、個人的に驚いたのは、この先生の正体の妖怪が、歴史が浅いどころか、実は……な点(ネタバレが激しいので割愛)

で、この点が、彼が小説家という道を選んだところにも関わってくるという……練り込まれた設定で舌を巻きました。

1作目でここまでがっつり伏線を回収して、謎を明かしてくれる潔さ、素晴らしい!

焦らすパターンもありますからね。

 

どうもツンデレのようなライバル妖怪、前述通り濃い個性持ちの出版社の同僚たち。

世界観を広げられる要素がまだまだありますので、これは是非シリーズ化を希望したいところ。

まだ六道先生と詠見コンビも始まったばかりですしね。

この2人の関係性もどうなっていくのか、続き見たいです。

 

そう言えば、六道先生の原稿は確かに遅れはしたけれど、締め切りは結局守ってた気が。

何だかんだで締切に間に合わせちゃう六道先生、作家の鑑か!