いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

化学探偵Mr.キュリー6

 

化学探偵Mr.キュリー6 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー6 (中公文庫)

 

 

2017/07/11読了。

大好きな化学ミステリシリーズ6作目。

しかも、今回は初の長編!

でも冗長さを感じさせず、最後まで気になりっぱなしで読ませるのは凄いなと思いました。

 

飛び級で大学に入学し、Mr.キュリーの元へ留学に来た化学の天才児エリー。

彼女はアメリカで出会った男性を追いかけて、ある天然素材の全合成に挑むが、最終段階で失敗してしまう。

しかも、彼女が追いかける男性は行方不明になっており、全合成を挑んでいる天然素材に関する研究資料はもう手に入らない状態。

そこには、ある「裏」の事情が隠されていた。

 

いつも以上に化学色の強かった今回ですが、基本的には化学の知識がなくても読める匙加減が今回も素晴らしかったです。

大学時代に有機合成が卒論研究だったこともあって、非常に懐かしくもありました。

知ってれば知っているほど、今回のゲストキャラのエリーの天才さが分かる訳ですけれども。

驚異的なスピードかつ収率だよ。

そりゃMr.キュリーも圧倒されますよね。

 

しかも、今回の全合成に挑んでいる化合物のことを調べれば調べるほど、様々な人の思惑が絡んできて複雑怪奇な迷路に。

エリーの思い人の行方も複雑な経緯を辿りますし、流石長編、ミステリとしての謎は本当に終盤まで深まるばかりでした。

だからこそ、そこからの逆転劇は胸がすかっとするいい話でしたけど。

この爽快感は是非実際に読んでほしいところです。

 

ミステリとしても面白かったですが、今回は珍しくMr.キュリーの葛藤というか思い悩む様が見られて、いつもとは違う新鮮な面白さがありました。

本物の天才を前にして、自分は「ギフテッド」(先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を持っている人のこと。 または、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を指す Wikipediaより)なのか、ギフテッドでないのであれば、こんな凡人が化学を続けていて意味があるのかと悩みます。

今までの彼からは考えられない悩みですね。

その悩みを解決する糸口を見つけてくれるのが舞衣であり、ライバルの氷上なところもよかったです。

舞衣の一言を受け取った時のMr.キュリーの挙動は本当に見ものです。

滅多に見れないよ、あんな光景。

Mr.キュリーは舞衣が困ると文句を言いつつ、いつも助けてくれますが、Mr.キュリーがいざ困った時は、舞衣が(無自覚ながら)助けてるんですね。

いいなあ、うらやましいなあ、こういう関係性。

これで、先生自身も少し成長したのではないでしょうか。

 

最後の最後にはエリー自身の秘密も謎解きされ(これには伏線は張られてはいたけど、びっくりしました)謎解き要素盛りだくさんな長編でした。

いや、本当に面白かったです。

喜多さんの作品はちょろちょろ読んでますけど、やっぱりこのシリーズが一番文章が活き活きしている気がします。

読んでいて、こちらもワクワクしてきますから。

いい化学ミステリだったな、次回も期待!