いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※ネタバレにはあまり配慮できてませんのでご注意を

京都西陣なごみ植物園

 

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

 

 

2017/05/10読了。

大好きな作家さんの新作、楽しみにしておりました。

いつものように京都が舞台ですが、今回はあやかしなどのファンタジー要素が一切入りません。

府立植物園の新米職員と「植物探偵」を名乗る花屋の女性が登場する植物に関わるミステリです。

 

ページ数がすごく多い作品ではないのですが、全6話構成、そのどれもが謎の答えが気になる話ばかりと読み応えは実際のページ数以上。

子供が見つけたという逆さまのチューリップの正体は。

彼氏の短歌と思い出の食い違いの理由は。

副題にある通りの「紫式部の白いバラ」とは果たして何か、などなど。

各話のタイトルからして「私、気になります!」状態になること請け合いで、流石仲町さんの作品だなと妙に納得してしまいました。

 

「からくさ図書館来客簿」の時も思いましたが、植物の描写も優しくて綺麗でして。

植物が好きなんだなという気持ちが伝わる描写も見ものです。

今回は、作中でキーとなった植物に関してはイラストも入っているので、親切仕様となっています。

 

個人的には、短歌の彼の話と桜の染め物の話が特に印象深かったですね。

前者は純粋にミステリとして面白かったですし、後者はとにかく染め物の描写が綺麗です。

 

ミステリとして勿論面白いですが、植物探偵を名乗る妹(何故か闇鍋的料理を作るのが趣味)と花屋を切り盛りする姉(姉はがっつり京都弁)の姉妹のやり取りも微笑ましいですし、そんな妹と新米植物園職員のほんのりな恋愛模様など、キャラクターにも見どころが。

特に恋愛は、姉と一緒に生温かい目で見守りたくなるほど。

読者側にはさらっと気持ちをオープンしてくれたのに、肝心の相手には伝わっていないこのもどかしさがたまらない。

今回だけでは、ミステリとしては決着しても、恋愛面では決着がついていないので、もしシリーズ化するなら、その点も楽しみにしたいですね。

 

とにかく、癖なくさらっと読めるけどミステリとして十分読み応えのある作品です。

植物好きな方ならより楽しめると思いますので、ぜひぜひ。

 

そういえば、作中に出てきた「源氏物語の植物」に関する資料が、実際の府立植物園で見られるんですね。

ちょっと気になるので、機会があれば府立植物園にも行ってみたいものです。

資料片手に巡ってみたいです。