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いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

ある小説家をめぐる一冊

小説(作家名か行)

 

ある小説家をめぐる一冊 (富士見L文庫)

ある小説家をめぐる一冊 (富士見L文庫)

 

 

2017/01/24読了。

本を読んでいると、あまりに夢中になりすぎて、その本の世界に入り込むなんて経験、読書好きの方は経験したことあるとは思うのですが、この作品はそこから更に一歩踏み出した作品。

その人の作品を読むと、物語の世界に入り込むだけでなく、五感全てでその雰囲気を感じることができるようになってしまう。

そうして、その物語に魅入られた人、もしくは物語のモデルとなった人たちの人生が狂ってしまう。

そんな不思議な能力に悩む女性作家と、彼女の作品の世界に入り込んではしまうが、今まで巻き込まれた人とは少し違う生真面目編集者のビブリオファンタジー。

 

前作の「悪魔交渉人」に出てくる設定と被る部分があったので、てっきり今回も悪魔絡みかと思いきや、世界観が同じでも悪魔は今のところでてきません。

何故彼女の物語は人をその世界に引っ張りこんでしまうのか。

何故編集者は彼女の物語の世界に入り込んでも、第三者の視点を保っていられるのか。

(通常はどうやら作中の登場人物の視点で入り込んでもしまうので、より人生が狂ってしまう)

その辺りの設定の答えは今回の話では用意されていません。

不思議なものは不思議で、今回のところは終わっています。

 

でも、普段の女性作家と編集者のコントでしかない面白い会話シーン。

劇中話となる、彼女の物語、彼女の祖父の残した物語は、もうそれ単品でも一冊できるだろうというクオリティの高さ。

そこに(彼女の能力のことではないが)謎解き要素も絡んできて、もう楽しい楽しい。

一冊で色々な要素が楽しめるのは、流石栗原ちひろさんといった感じでした。

今回も濃厚ですぜ旦那。

 

特に風景描写がお見事としか言いようがない。

不思議な世界観を見事に描かれていて、文字を読んでいるだけなのに何とも眼福さを感じてしまいました。

女性作家さんのお宅、廃墟、そしてカメラ越しにしか見えない不思議な光景……もうどれもが逐一素敵でありました。

これはまた凄い作品が誕生したのではないかなと思います。

 

彼女の新しい作品は、まだ仕上がっていません。

過去の呪縛を断ち切り、新しい物語は誕生するのか。

今後が非常に気になる作品であります。

はあ、本当に雰囲気素敵ですので、本好きの方は是非是非読んでほしいです。