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いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

有松恋染めノスタルジー

 

有松恋染めノスタルジー (富士見L文庫)

有松恋染めノスタルジー (富士見L文庫)

 

 2016/11/19読了。

絞り染めの産地である愛知の有松を舞台とした物語。

大きな事件や騒動は特に起きず、静かに淡々と粛々と物語が進んでいきますが、何処か少しだけ緊張感もあって、何だか職人さんの仕事場を黙って見学させていただいているような雰囲気がありました。

無駄に大きな声を立ててはダメというか、この作品は一人で静かにゆったりと味わうもののような。

 

会社の倒産で東京から出戻り祖母の喫茶店を手伝うようになった主人公と、絞り染め職人の仄かな恋物語でもあり、職を失ってこれからどう生きていくか見失っていた主人公が、町の人たちとの交流を通じて、自分のこれからを見つけていく成長物語でもあり。

どらちかというと後者の方に重きが置かれていて、恋愛要素は思っていたよりは少ない印象。

まあ主人公は失業者で、特に序盤は恋愛どころではなかったというのもあるでしょうが。

ただ自覚もしているようなしていないようなだし、主人公から絞り染め職人の沢口への片思いのまま終わる感じでもあるし、恋愛面に関しては、この物語ではやや消化不良です。

続きがあるなら期待したいところですが、これはこれで綺麗に終わっているからなあ。

 

絞り染めに関しての話は文章だけでは想像しづらい部分もありましたが、色を大切に描かれていることもあり好印象(後にこれが伏線になる)

また沢口が持っている手ぬぐいに隠された内容が終盤に明かされますが、そこからの主人公の決意がまた素敵な話でした。

彼女の選んだ道は大変な部分もあるでしょうが、東京にいた時よりははるかに生きがいの感じる道だと思います。

彼女の進む道を応援したいです。