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いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

残穢

小説(作家名あ行)

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

2015/8/17読了。
非常に怖いと聞いて読み進めたが、想像していた方向の怖さではなかった。
 洋画のスプラッタのような展開がある訳でもなく、和風ホラー映画のような精神的に抉ってくるような展開が続く訳でもない。
ただただ静かに粛々と、話は進みます。
真綿で首を絞めるように、下手をすると首を絞められている側が気付かないように、気付けないままに侵入してくる。
気付いた時には、もう術中にはまって身動き取れないという。

そう、読んでいる間は、ホラーであることを忘れてしまうような静けさである。
幽霊や怪異は確かに出てくるし起きてはいるけれど、作者さまのエッセイを読んでいるかのような気軽さがある。

ただ、じわりじわりと真相に迫ってくると、この話の怖さが、普通のホラーの軸では捉えられない部分にあることが分かってくる。
この話の一番の怖さは「決して他人事ではない。日本の、いやこの世界のどこにだってあり得ることで、逃げることができない」という点。
しかも、神の祟りに触れたとか、禁忌を犯したから受ける害悪ではない、日常生活を普通に営んでいても受けてしまう、こちらに何も非がなくても起こり得てしまうという部分が、怖い。
別に爆発的に怪異が広がっていくようなタイプでもない、スプラッタにされる訳でもない。
ただ、この怪異は、普通に自分の足元に、隣に、空気のように当たり前に存在するということが、とにかく怖い。
この怖さ、普通のホラー作品からすると異常さすら感じる雰囲気。
自分ではうまく言葉にできない。

ただ個人的には、最後の展開は微妙に勿体無い気はした。
ちょっと走っている気がしたので。
でも、これは本当に怖い。
驚かされる恐怖ではなくて、何というか…薄ら寒い恐怖というか、とにかく言い表すことが難しいけれど、確かに怖い作品でした。
さすが小野不由美さんというべきか。