読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

貸し本喫茶イストワール 書けない作家と臆病な司書

2015/6/7読了。
プロの小説家さんが抱えている悩みや苦労も垣間見えた作品。
あることがきっかけで小説が書けなくなってしまった主人公だけれど、そりゃ書けなくもなるというえげつない「きっかけ」に心苦しくなりました。
が、そんな彼が立ち上がり、また小説を書けるようになる成長ものとしても面白い。
また、貸し本喫茶の司書であるヒロインの成長物語でもある。
初めてできた友達のために、閉じこもっていた喫茶店から外へ出て、無論その先決していいことばかりではなかったけれど、寧ろ大問題と発展はしてしまったけれど、そこから本当の友情を手に入れる話もまた泣ける。
主人公もヒロインも、どちらも「自分の世界」が狭い人たちばかりなので、色々な人との出会いが、2人の世界を広げていく、変えていくのがよかった。

劇中劇というか、劇中小説というべきか、合間に挟まる物語が、ヒロインからの視点と見せかけて…という展開だが、この最後の締めくくりの文章がまた泣けた。
伏線が途中で出てくるので、自ずとこの物語の作者は知れるのですが、知った後の方がより泣ける気がします
あの展開は卑怯だ。
いい意味で。

万人のためではなく、たった一人のために書かれた物語。
そういう物語に出会えるのは、ある意味奇跡で、ある意味幸せなことなんだろうと、この作品を読んでいてそう感じた。
この物語もまた、誰か読者の心を確かに打つのだろう。
そんな、優しい優しい物語でした。