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いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

僕が恋したカフカな彼女

小説(作家名ま行)

 

僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)

僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)

 

 

2017/01/31読了。

中学時代、女子に不自由しなかった楓が地味に過ごしていた高校で出会ったのは、何故かヘルメットを被った風香。

彼女に恋文を出して告白をしてみたものの、まさかの玉砕。

今まで女子に振られたことのなかった楓はリベンジを誓うが、彼女は彼に言った。

「なら、カフカにおなりなさい」と。

 

と、一見恋愛ものがではあるのですが、フランツ・カフカの作品を彷彿とさせる事件が色々起き(そしてその度に女子生徒に絡まれるモテモテ楓)その謎解きも絡んでくるミステリでもあります。

ミステリもミスリード系で、着地しそうだった真相ががらりと視点が変わってひっくり返るものが多くて楽しめました。

フランツ・カフカの作品を詳しく知らなくても、作中に解説があるので、自分のように海外ものを読んでいなくても大丈夫です。

 

ただ、個人的にはどうにも主人公の楓が好きになれず。

女子に甘いというか、だらしないところがどうにも生理的に受け付けられなくて難儀しました。

風香は逆に好きでしたけどね。

口癖の「きぃー!」と「図々しい」が可愛らしかったです。

 

そんな風香に秘められた謎。

これが明らかにされてからの後半は、楓の苦手部分が気にならなくなるほど、作品にのめりこめませた。

後半は謎解きよりも恋愛に重点がシフトされたからでしょうか。

ついつい楓を応援したくなるほど。

なんてこった、楓の人間性は最後まで好きになれなかったのに。

不思議な感覚だ。

 

ちなみに、この作品内には作者さまの別作品キャラも出てくるとか。

クイズになっているようです。

詳しくは、作者さまのTwitterにて。

幻想古書店で珈琲を

小説(作家名あ行)

 

幻想古書店で珈琲を (ハルキ文庫)

幻想古書店で珈琲を (ハルキ文庫)

 

 

2017/01/27読了。

本の街である神保町を舞台に、「縁」をなくした者たちが迷い込む不思議な古書店「止まり木」の店主、亜門と、そんな彼の元で働くことになった主人公の司の物語1作目。

個人的には「幽落町おばけ駄菓子屋」は少し読みづらかったのですが、こちらは非常に読みやすかったです。

少しジュブナイルな雰囲気は漂いましたが。

だって、悪い人が全然出てきませんから。

普通なら、主人公が終盤近くであんな不思議話を打ち明けたら、否定の一つもしそうなのに、まるっと受け止めた上でのアドバイス。

あんた、ええ人やん。

これで彼も亜門側の人とかいうオチが今後待ち受けているのであれば、面白いのですが。

 

魔法使いを自称する亜門は、お客様に対してその人の人生を「本」にすることを代償に珈琲を提供。

古書店にはこの珈琲の香りが常に漂っていて、この雰囲気が自分にはたまらない感じでした。

珈琲が体質的に飲めないので、こういった古書店で珈琲を味わえるだけで羨ましい限りなのですが、まあそれはさておき。

 

自称魔法使いの亜門の正体は、名前と彼の魔法使いとしての能力を鑑みれば自ずと分かるのですが、彼の正体が司にバレてからの展開がよかったですね。

ベタといえばベタなのですが、こちらが期待している王道的展開を貫いてくれるので、安心して読めるといいますか。

また何故か何も書かれていなかった司の人生の本に書かれた最初の一文がいい。

何が書かれたのかは、是非読んで確かめて欲しいところ。

 

これは亜門と司の出会いと始まりの物語。

ここからこのシリーズがどう展開していくのか、楽しみにしたいです。

 

屋上で縁結び

小説(作家名あ行)

 

屋上で縁結び (集英社文庫 お 74-6)

屋上で縁結び (集英社文庫 お 74-6)

 

 

2017/01/25読了。

商社のビルの屋上に稲荷社があるなんて光景、見たことある人もあるかと思います。

この物語も、たまたま就活中にそんな稲荷を見つけて、遠くからその稲荷に願掛けしたところ、無事にそのビルの会社に再就職できたアラサーOLさんと、その稲荷の神主さんが出会うところから始まるお仕事ミステリ。

といっても、ミステリ要素はそう多くありません。

こけし盗難事件と、途中から登場する清掃員のお嬢さんに関わるある秘密くらいでしょうか。

まあ、神主さんが一番不思議といえば不思議なんですが。

 

自分はどちらかというと、ミステリよりは主人公の女性とこの神主さんとの切ないやらもどかしいやらの恋愛ものとして読みました。

この神主さん、若いんですけどシングルファーザーで、7歳だったかの息子がいます。

これが割と速い段階で明かされるので、彼女も随分悩みます。

子供がいるから、というより、奥さんとは死別しているという彼においそれと近付いていいのか。

そういう身の上なのに、彼は割とフランクに彼女の弁当のおかずを食べていきますから、余計彼女としては振り回されたんではないでしょうか。

 

ただ、悩んでいたのは神主さんの方も同じ。

彼が彼女に近付いたのには、ある理由があり、でもそれに本人が無自覚だったため、クライマックス付近でそのことをようやっと自覚し随分苦悩します。

これがまたもどかしい。

ここから彼がどう折り合いをつけ、彼女もまたどう受け止めるのか、クライマックスは見ものです。

完全にすっきり終わる訳ではないですが、未来は続いていく形ですので。

この後もシリーズが展開するのであれば、彼がもう一歩二歩踏み出した答えを出してくれるのを期待したいところではあります。

 

うん、ミステリ要素もありますが、やはり恋愛主軸かなあ。

自分はそう思います。

ある小説家をめぐる一冊

小説(作家名か行)

 

ある小説家をめぐる一冊 (富士見L文庫)

ある小説家をめぐる一冊 (富士見L文庫)

 

 

2017/01/24読了。

本を読んでいると、あまりに夢中になりすぎて、その本の世界に入り込むなんて経験、読書好きの方は経験したことあるとは思うのですが、この作品はそこから更に一歩踏み出した作品。

その人の作品を読むと、物語の世界に入り込むだけでなく、五感全てでその雰囲気を感じることができるようになってしまう。

そうして、その物語に魅入られた人、もしくは物語のモデルとなった人たちの人生が狂ってしまう。

そんな不思議な能力に悩む女性作家と、彼女の作品の世界に入り込んではしまうが、今まで巻き込まれた人とは少し違う生真面目編集者のビブリオファンタジー。

 

前作の「悪魔交渉人」に出てくる設定と被る部分があったので、てっきり今回も悪魔絡みかと思いきや、世界観が同じでも悪魔は今のところでてきません。

何故彼女の物語は人をその世界に引っ張りこんでしまうのか。

何故編集者は彼女の物語の世界に入り込んでも、第三者の視点を保っていられるのか。

(通常はどうやら作中の登場人物の視点で入り込んでもしまうので、より人生が狂ってしまう)

その辺りの設定の答えは今回の話では用意されていません。

不思議なものは不思議で、今回のところは終わっています。

 

でも、普段の女性作家と編集者のコントでしかない面白い会話シーン。

劇中話となる、彼女の物語、彼女の祖父の残した物語は、もうそれ単品でも一冊できるだろうというクオリティの高さ。

そこに(彼女の能力のことではないが)謎解き要素も絡んできて、もう楽しい楽しい。

一冊で色々な要素が楽しめるのは、流石栗原ちひろさんといった感じでした。

今回も濃厚ですぜ旦那。

 

特に風景描写がお見事としか言いようがない。

不思議な世界観を見事に描かれていて、文字を読んでいるだけなのに何とも眼福さを感じてしまいました。

女性作家さんのお宅、廃墟、そしてカメラ越しにしか見えない不思議な光景……もうどれもが逐一素敵でありました。

これはまた凄い作品が誕生したのではないかなと思います。

 

彼女の新しい作品は、まだ仕上がっていません。

過去の呪縛を断ち切り、新しい物語は誕生するのか。

今後が非常に気になる作品であります。

はあ、本当に雰囲気素敵ですので、本好きの方は是非是非読んでほしいです。

鍵屋甘味処改 5 野良猫少女の卒業

小説(作家名ら行・わ行)

 

鍵屋甘味処改 5 野良猫少女の卒業 (集英社オレンジ文庫)

鍵屋甘味処改 5 野良猫少女の卒業 (集英社オレンジ文庫)

 

 

 2017/01/21読了。

いよいよ完結。

落ち着くところに落ち着いてよかったですが、最後だけに淀川さんには試練がいっぱい。

 

最初の話こそいつもの依頼話の延長戦な感じでしたが、次からは完結前に片付けておかないといけない案件のオンパレード。

元カノ登場で幼馴染みを巻き込んだ過去の恋愛話に本当の意味での決着をつけなくてはいけなくなったし、そちらが片付いたと思ったら、今度は淀川家の家族問題が浮上。

仲違いをしたままの父息子は和解することができるのか。

いつかの恩を返すため、そして好きな人のため、こずえちゃんも自分のことそっちのけで頑張ります。

この解決に最初の依頼話が貢献するのだから、いい構成だなと思いました。

 

恋愛面でも、いよいよ主役2人に決着がつきます。

やっと、ようやっと淀川さん自覚しやがりました。

長き道のりだったなあ。

しかも、終章直前という何とも遅いタイミングでした。

成人男性がご覧の有様でいいのかどうか。

 

しっかし、その後は一足飛びでしたから。

段階は踏まないのかいと盛大にツッコミたくなる選択。

でも、今までとあまり変わらないのではと思ったのですが……この2人、初手から異常でしたわ、そう言えば。

安定した職ではないし、苦労もいっぱいするでしょうけど(淀川父の言い分も分かる)末長くお幸せにと祝福したいと思います。

 

ちなみに。

完結後のショートストーリーが、こちらで読めます。

ギャラリーのおばさまたちと一緒にニヤニヤしながら見るといいと思います。

 

鍵屋甘味処改書籍情報サイト

 

シリーズ途中でファンタジーというかオカルトというか、とにかく非日常要素入って「おい!」とは思いましたが、何とか軌道修正して無事に完結したこと、本当にめでたいと思います。

面白シリーズをありがとうございました!

謎解き茶房で朝食を

小説(作家名は行)

 

謎解き茶房で朝食を (富士見L文庫)

謎解き茶房で朝食を (富士見L文庫)

 

 

2017/01/19読了。

台湾茶とお粥を提供する茶房の店主、そして彼の弟のお菓子が、疲れた社会人たちを癒していく優しい優しい物語。

基本的に一話ごとに主役と視点が切り替わりますが、一応最初の話に登場したOLさんがメインといえばメインです。

他の話の主役たちも、彼女と関わりのある人ばかりなので。

でも、主役が変わるから、色々な視点、考え方でこの茶房のことが見られて面白かったです。

 

仕事に疲れ、恋に疲れた人。

上がり症で仕事が上手く行かない人。

責任感ばかりが先行して空回りしている人。

社会人ならではの悩みを、台湾茶房を営む兄弟が、さり気なく解決してくれます。

解決するというか、疲れを取り除いて、今の困難に立ち向かうための後押しを少しばかりしてくれるというか。

お守り代わりに持たせてくれるお茶が、色々な人たちの大事な局面で多大な力を発揮してくれます。

それがプラシーボ効果だったとしても、自分の足で立ち上がり、自分で解決していく、そんな感じです。

 

だから、ミステリかと言われると、ちょっと首を傾げる仕様ではあります。

謎解きはしてないんですよね。

悩みを解決している形なので。

そのため、他の飲食店の店員や店長が日常の謎を解決していくミステリを想像して読むと、ちょっと違和感はあるかもしれません。

お茶とお粥が社会人の悩みを解いてくれる癒しストーリー。

そんな物語だと思って読んでくださると、こちらも癒される、または仕事を頑張れる力を分けてもらえる、そんな作品ではないでしょうか。

前述どおり、優しい、本当に優しい物語。

 

店長さんとOLさんの関係も気になる感じですので、続きが出ればいいなと思っています。

出ないかなあ。

黒猫邸の晩餐会

小説(作家名あ行)

 

黒猫邸の晩餐会 (講談社文庫)

黒猫邸の晩餐会 (講談社文庫)

 

 2017/01/17読了。

Twitterでお見かけして惹かれたので買ってみました。

ページ数的には決して長い話ではありませんが、二重三重に謎が張り巡らされていて最後まで楽しんで読むことができました。

最後の最後の解釈だけが自分的には少しもやっとしましたが、まあそれはさておき。

 

奨学金の理事長にお礼をと思い出向いた先にいたのは、穏やかな老婦人と彼女の旦那という割には妙に若い男性。

謎を解くのが得意な旦那のために謎ある話を聞かせて欲しいという老婦人の申し出通り、主人公はかつてあった不思議な話を聞かせてみると……

 

といった具合の、ミステリとしては安楽椅子探偵ものの日常ミステリ。

主人公と後に登場する強面青年の過去話を若い旦那は鮮やかに謎解き。

しかし、この話の謎解きもさることながら(ちゃんと読者側にも推理できる材料は全て提示されているので、意図していたかはさておき読者への挑戦状という形でも読める)一番の謎は、この夫婦というよりは祖母と孫といった見た目の2人。

老婦人が何故若い彼を「旦那」と思い込んでいるのか。

そして、その「旦那」を演じる彼の正体とは。

後半は、この2人を巡る謎を、前半で謎話を提供した主人公と強面青年が日本すら飛び出して解いていきます。

 

この2人の謎に前半の謎解き話も絡んでくるので、最終的にまとまって一つの結論に集約されていく様はお見事でありました。

この不思議な夫婦の最後が本当に美しくてですね。

絵画を見ているかのようでした。

ちょうど前半の謎も絵画絡みですから、いい塩梅か。

 

それだけに、旦那の正体に関する最後の最後の解釈にオカルト要素を残してしまったのが個人的には前述通り少しもやっとしました。

まあ、どちらにとっても大丈夫よというニュアンスではありましたが、強面青年の一言が余計と言えば余計、蛇足と言えば蛇足な感じがしました。

あくまで個人的にはですが。

そこは純粋に旦那を演じた彼が頑張ったからということにしておきましょうよ。