いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

2018年4月の読了本一覧

2018年3月の読了本一覧です。

よろしければ、続きからどうぞ。

 

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お飾り聖女は前線で戦いたい 2

 

お飾り聖女は前線で戦いたい 2 (角川ビーンズ文庫)

お飾り聖女は前線で戦いたい 2 (角川ビーンズ文庫)

 

 

2018/05/02読了。
癒しの力を持つ聖女と女性騎士の仕事を掛け持ちする少女と、彼女を過保護に見守る騎士隊長の両想い後、甘々も事件性も増し増しな2作目。

 

聖女様のライバルになりそうな騎士など新キャラも登場し、聖女様をからかってばかりの双子にも個性が見えてきたりと前作からのアップデートが楽しい今作。
相変わらず息をするように繰り広げられるコントとシリアスの塩梅が絶妙。
新キャラ巻き込んでコントしてるからなあ。

 

メインどころは騎士隊長の故郷でのきな臭い話。
彼が何で「氷騎士」と呼ばれるような冷酷なキャラになってしまったのかが描かれます。
今だと見る影もないんですけどね、この冷酷さ。
(作中で一応片鱗は見られるけど、ほんの一瞬)
しかも、彼はきな臭い話を一人で解決しようと王宮を飛び出す始末。

 

そんな彼を救おうと立ち上がるのが、騎士としての彼女ではなく聖女としての彼女というのがまた熱い。
騎士としては未熟なところを受け入れて、聖女としてこれまで培ってきた人との絆を活かして駆けつけるってこれまた何と言う最終回展開。
そこからはまたいつものコメディと甘々に戻って来るんですけど。
そして、お母様が相変わらず随所でお母様しているという。

 

前作で割とすっきり終わっていた印象だったので、まさか続きが出るとは思いもせず。
無事に二人のゴールインまで見届けることができてよかったと思います。
惜しむらくは、今回は話が話なので、隊長のコメディシーンが少なかったという点。
ラッキースケベ的なことを前回はやらかしてくれていたので、今回も聖女様のことで暴走して生真面目過ぎるゆえのギャグを見たかったんですけどね。
いたのは、ただただ溺愛状態の隊長でした。
まあ、これはこれでよしですかね。

 

浅草和裁工房 花色衣:着物の問題承ります

 

浅草和裁工房 花色衣: 着物の問題承ります (小学館文庫 え 10-1 キャラブン!)
 

2018/04/16読了。

着物に絡んだミステリというのは以前どこかでお見かけしていたので、最初はデジャヴ? と思ってしまったのですが、読み始めると以前読んだ作品とはまた方向性が違って、これまた面白い。

こちらはキャラクター性や恋愛方面に重きを置いた作品でした。

 

ファッション誌から急に着物の雑誌の編集に異動となった主人公の女性編集者。

家庭の事情で着物が好きとは思えない中、異動前から手伝いで着物雑誌の取材に駆り出され、そこで出会ったのは、イケメン和裁士の男性。

事あるごとに着物着ませんかと押してくる彼に苦手意識やら反抗意識やらがあったのだが、段々と彼への気持ち、そして着物に対する思いも変化していき……という感じの物語。

着物絡みのミステリもあるよ。

 

ミステリ要素はあっさり薄味といった印象。

割とすぐ答えが出てしまうというか、どんでん返し的な展開がなく素直に進みますので、着物ミステリと銘打つなら、個人的にはもう一捻り欲しかったなとは思います。

ただ、この作品はミステリをメインで味わう作品ではない気がするので(個人的には前述通り恋愛がメインな印象)このくらいのあっさりテイストでよかった気もします。

 

あ、後半に出てくる「着物の化粧」は面白かったです。

まさかそうくるとは……そもそも、「そういうもの」が存在していることすら存じ上げませんでした。

(作中のものを検索かけたら、本当にあったのでびっくり!)

気になる方は、ぜひ本文を読んでみてください。

先に言っておきますが、着物に化粧する、ということではないですよ?

 

やはり何度も言っている通り、メインはやはり編集者と和裁士の恋愛模様

最初はあんなに毛嫌いしていたのに、どんどん着物への興味が増して行くのと同時に好意も増していく。

素直になるまでには大分時間がかかりましたが。

まあ和裁士の彼が如何せん(本人にはその気はないようなんだけど)彼女からしてみると本気度が伝わらないというか、チャらく見えるのが問題だったのでしょう。

気の毒なとしか言いようがないけれども。

 

途中でそんな彼視点の閑話が入るのも、いい補完になってよかったです。

だからこそ、彼に同情したと言いますか。

割と本人は最初から本気だったんですけどね……伝わらないという。

 

ただ彼女は乗り越えねばならない家族間の問題があります。

着物好きな祖母と着物嫌いな母の確執。

その確執をどう解決するかがクライマックスとなります。

孫の、娘の想いは2人に届くのか。

そして彼女と和裁士との恋の行方は。

最後はほっこりできて、ほんんり泣けるいいクライマックスになってますよ。

 

着物に関して丁寧に説明してくださっているので、具体的な図などがなくても分かりやすく、着物もいいかもと思える話でした。

着物に興味をひかれつつ、もどかしい2人の恋愛にニヤニヤもできて楽しい読書となりました。

ありがとうございました。

幸せを呼ぶ物語、つづります。:水沢文具店

 

2018/04/11読了。

書店で見かけて狂喜乱舞しましたよ。

まさか続編が出るとは思わなかったので。

続きの物語を読むことができて、本当に幸せでした。

 

1作目に関してはこちら。

水沢文具店:あなただけの物語つづります - いこの読了本備忘録。

 

ノートとペンさえ買えば、その人が望む物語を書いてくれるという一風変わった文具店の店主。

その店主の恋人になった小学校教師とのその後、文具店のある商店街の人たちとの絆、勿論物語を願ったお客さんたちの話、しかもその書かれた物語の内容まで味わえる、何とも盛り沢山な内容の続編でした。

 

1作目は主軸が小学校教師の女性に据えられていて、店主側の視点からの話は最後に少しくらいだったと記憶しているのですが、今回はむしろ店主側からの視点が多く、読みたいと思っていた部分が読めて嬉しかったです。

他にも、依頼者側(第三者)から見た店主や彼女のことが知れたのもよかったですし、店主と商店街の皆さんとの普段のやり取りが見られたのもよかったです。

 

また、ある話は物語を受け取った後の方をメインに描かれたものもあり、後日談が読めたところも新鮮でした。

そう、前作で「こういうところも読みたいな」と思っていたところを叶えてくれた、前述通り何とも盛り沢山で贅沢な内容の2作目で大満足。

 

何より主役2人のその後がしっかり読めたところが一番の満足ポイントでしょうか。

大人な2人の筈なのですが、これがまたこちらがもどかしく思うほどのゆったりぶり。

でも、そこがまた2人らしくて、もどかしいながらも愛おしく思えたり。

彼女は先生として乗り越えねばならない試験もありましたしね。

それどころではなかったというのもあるのでしょうが、それでもゆっっくりゆっくり前へ進んでいる2人を見ていると、2人とも苦しい過去を乗り越えた経験があるだけに、読み手側に希望を与えてくれたと思うのです。

最後の話がこの2人の共同作業というのもいいのですよ。

今回のクライマックスとして、これほど相応しい展開はないなあと思えるほど。

 

それに最後の最後のシーンがまた印象的なのですよ。

これまでの素敵な物語を噛み締めつつ、自分も空を見上げたくなる、そんなほっこりと美しいラスト。

ぜひ色々な人に味わってほしいです。

 

前作よりパワーアップした2作目。

前作と併せて読んで、その違いも楽しんでほしいなと思います。

今回も幸せを呼ぶ物語を堪能させていただきました。

ありがとうございました。

さくら花店 毒物図鑑

 

さくら花店: 毒物図鑑 (小学館文庫 み 7-1 キャラブン!)

さくら花店: 毒物図鑑 (小学館文庫 み 7-1 キャラブン!)

 

2018/04/13読了。

植物の声が聞こえる花屋の店主の女性+広島弁全開の人間嫌いな樹木医の旦那さんが癖のある事件を解決するミステリ。

色の変わった紫陽花の下にあった物は。

アパート暮らしなのにいつも買っていく鉢植えのその後は、などなど。

 

事件の内容もさることながら、主役2人(+その後更に増えるもう1人のメインキャラも)もまた色々濃いと言いますか、一癖も二癖もあるキャラでした。

流石「毒物」を謳っているだけはあるなという毒々しさ。

まあ、奥さんは毒というか、ある意味清々しさを感じるほどでしたけど。

旦那さんを、人間を何だと思っているんだというくらいの。

発言が中々に酷くて笑えました。

 

事件も綺麗な花が出てくる割に毒々しいというか、ブラックなオチで事件の話が終わるたびに妙な冷や汗をかきました。

特に最初の紫陽花の話が強烈でしたね。

解決したと思いきや、まさかの……

そこは読んでみてのお楽しみ。

 

花屋が舞台なのにほんわかしたハートウォーミングとは程遠い、人の怖さや恐ろしさを感じられるユニークな作品でした。

キャラクターも濃いので、キャラものミステリとしても面白いかと。

ただ解決のためには割と犯罪的な方法を取ることもある夫婦ですので(何しろ奥さんが色々な意味で常識外)主役2人に関しては好き嫌いが分かれそうではあります。

そういう意味でもユニークかもです。

滅亡から読みとく日本史

 

滅亡から読みとく日本史 (KAWADE夢文庫)

滅亡から読みとく日本史 (KAWADE夢文庫)

 

2018/04/09読了。

好きな作家さんのTwitterでお見かけして気になったので読んでみた次第。

タイトル通り「滅亡」した一族の成り立ちから発展、そして滅亡までをコンパクトにまとめた一冊。

滅亡という話だけに、必然的に戦国大名が多め。

勿論、蘇我氏や源平など、戦国大名以外の話もあります。

滅びた時系列順の紹介ではないので、鎌倉、戦国など色々入り乱れてますが。

ただ、割と最近の解釈も紹介してくださっているのが好印象でした。

 

個人的にやはり蘇我氏や平家、源氏の滅亡の話には興味津々。

あと驚いたのが、戦国で滅びたと思っていた今川氏が、実は明治20年まで残っていたという事実。

完膚なきまでに滅ぼされた大名もいた中、立場などに拘らず生き残ってきたところに今川の強かさを感じたというか、家族思いなところを感じたというか。

滅び方もそれぞれなら、生き残り方もそれぞれ。

様々なパターンが見られて、何とも興味深かったです。

純真を歌え、トラヴィアータ

 

純真を歌え、トラヴィアータ (メディアワークス文庫)

純真を歌え、トラヴィアータ (メディアワークス文庫)

 

2018/03/27読了。

言葉だけでは表現しきれない筈の「音楽」

その音楽の音色や雰囲気、伝わる感動をよくもここまで表現してくださったと思える素敵な作品でした。

 

夢と現実とのギャップに苦しむ話だけれど、これは音楽に限らず誰しもがぶつかる壁。

結局は「できない」から諦めることが多いであろう中、「できるできない」ではなく「やりたいか違うか(やりたくないか)」で判断しようとした作中のとあるキャラの考え方が非常に目から鱗でした。

プロを目指しての挫折は本当に苦しいけれど、挫折してスパッと諦めるだけが選択ではない。

その道と今後どのように向き合うかは人それぞれ。

心が悲鳴を上げる前にその折り合いをどうつけるか。

音楽の話だけでは済まない、読んでいて非常に考えさせられる物語でした。

自己啓発本だったかしら、この作品。

 

主人公はその答えを出すのに時間はかかったけれど、今後もきっと変わらないであろうものを見つけられて、無事に立ち直ることができて本当によかったです。

この復活する場面が本当に一枚の絵画を見ているかのような美しさで、思わず感嘆のため息が漏れました。

音楽の話なのに絵画とは(哲学)

いやもう、本当に観客が一人というのが勿体ないくらいで……あの場面は本当にぜひ読んで欲しい。

きっとこれは挫折を経験した人への希望の物語になるので。

 

それにしても、ヒーローは色々気付かされなさすぎて不憫でした。

周囲は気付いているのにね。

主役二人の関係も非常にニヤニヤ……もといドキドキさせられたので、いつか何処かでその関係にも決着がついた話も読んでみたいです。

その時は是非「純愛を歌え、トラヴィアータ」とか、「初恋を歌え、トラヴィアータ」とかで出して欲しい(考え方が安直)

今回、主人公は音楽との付き合い方に悩むことでいっぱいいっぱいだったから、その他のことに目を向けている余裕はなかったでしょうし。

 

そう、この主人公が、うじうじ悩んでいる割に、不器用でストイックで天然で鈍くって、結構力持ちなところがギャップ萌えで素敵でした。

そう、結構他の部分が淡白というか、悩んでいる内容に比べて性格はじめじめしていないところが、非常に好感が持てました。

お陰で不必要に重くなりすぎず、読んでいて心地よいシリアスさでした。

そういう意味でも塩梅が非常に見事な作品だったと思います。

前作とはまた雰囲気の違う作品でしたけど、こちらも大好きな作品となりました。

やっぱり続編読みたいなあ。

お願いしますよ、メディアワークスさま。