いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

京都はんなりカフェ巡り

 

京都はんなりカフェ巡り (メゾン文庫)

京都はんなりカフェ巡り (メゾン文庫)

 

2018/11/11読了。

実在する京都のカフェが登場し、主役2人が食べるスイーツやお茶が本当に美味しそうで、読みながら自分も京都のカフェ巡りをしている気になりました。

 

SNS上でしか知らない相手を探し出す為に、高校卒業後に家出同然で京都にやってきた主人公の少女。

手がかりは京都在住でカフェ巡りが趣味だということだけ。

無茶無謀だった人探しだったが、最初に訪れたカフェで出会った男性が手伝いを願い出てくれて……

 

この男性が誰なのかは自ずと分かると思うのですが(無論、その後正体がバレて大ごとになる)それまでは、人探しが二の次に感じられるほどカフェ巡りを堪能しているし、主人公の少女のトラウマに触れる場面で彼がかっこよく助けてくれたりと、ほんのりとした恋模様も楽しめてときめきました。

 

問題は予測可能回避不可能な、彼の身バレ以降の話。

想像はできていましたけど、予想以上に彼女がショックを受けて、しかも肉親が迎えに来たタイミングということもあって、最悪な状況に。

高校卒業したての未成年、しかも彼女は幼い頃から病弱で満足な人間関係を築けていなかったせいもあり、こういう時に感情をどうコントロールしていいのか分からずに持て余してしまう。

そこからの彼の行動も凄まじいものがありました。

まさか彼女とは逆に、彼女の元へ単身乗り込むとは。

果たして、彼女と彼の仲は修復できるのか。

それは読んでみてのお楽しみ。

個人的には、まさか最後の最後にそこまで展開が吹っ飛ぶとは思いませんでしたが。

展開早い。

 

自分も人間関係は全然豊かではないので、ネット上の関係とはいえ、自分を受け入れてくれた相手に縋りたくなる気持ちは分かる気がします。

そして、ネット上だから築けた関係性を裏切りたくないというあるキャラの気持ちにも共感できました。

こういう場合、どうするのが一番なんでしょうね。

色々考えさせられる作品でした。

ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語

 

ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 (角川ホラー文庫)
 

2018/11/06読了。

帯に「ラスト数ページは衝撃的」とあったし、作中でついに森司が色々決意したから、やらかしてくれるのかと思いきや……うん、まさかそういう展開とは思わなかったです。

もう読者側には森司のことはもちろん、こよみちゃん側の気持ちも筒抜けだというのに、まさか本番ではなく予約で終わってしまったという(「何の」とは言わない)

ここでも焦らしてくる櫛木先生、恐るべし。

 

本編は、百物語に呪いの能面と、字面だけで怖いネタ盛り沢山。

百物語は、これまでのサブキャラクター多数登場で、実に様々な怪談ネタを一気に味わえて、何とも贅沢な気分になれました。

そんな中でも、ベストカップルの雰囲気を醸し出す主役2人と、その間に割って入ろうとする小山内くんを「まあまあまあ」と止めに入るオカ研面子にほっこりできましたが。

小山内くん、そろそろ諦めろ。

他者から見ても割って入れる雰囲気はないぞ。

 

この百物語の話は、森司視点ではなく、完全に第三者からの視点で描かれるので、森司とこよみちゃんを身内視点ではないところから客観的に見られるところもよかったです。

前述通り、彼らをよく知らない人から見ても、もう既に2人はカップルでしかないですものね。

何故あれでお互い気付かないんだろう。

 

百物語の話もそうでしたが、続くドールハウスの話も、第一印象と真相とのギャップというか反転具合が(別方向に)面白い話でした。

まさか、そうくるとは!という意外性に驚かされると言いますか。

 

能面の話は、もうビジュアルからして怖いのですが、宿る作者の執念と同調してしまった人の怨念が本当に恐ろしい話でした。

そして、久々にこよみちゃん自身に降りかかる危機を前に、森司が自覚したこととは。

今回は、森司の過去のトラウマと、それの克服の話も出てきて、主人公の成長も嬉しい話になっています。

それもこれも、全てこよみちゃんのお陰なんだよな。

草食系男子も、変わる時は変わるのです。

 

それにしても、最近お互い好きな人と同じ行動パターンになってきている主役2人。

ベストカップルとして掲載された雑誌の扱いがまるきり同じで、もう本当に思わずこっちもにっこりしてしまいましたよ。

ごちそうさまでした。

怖さも味わえて、ニヤニヤ恋愛模様も楽しめる、本当に楽しいシリーズです。

絶賛焦らされ中ですけれども。

そろそろ決着を、決着をお願いします。

じゃないと、先に卒業が来そうだ。

地獄くらやみ花もなき 弐 生き人形の島

 

地獄くらやみ花もなき 弐 生き人形の島 (角川文庫)

地獄くらやみ花もなき 弐 生き人形の島 (角川文庫)

 

2018/11/09読了。

殺人の予告状めいた招待状に誘われてやって来た、何故かクローズドサークルとなってしまった島での殺人事件。

今回は連作短編集ではなく、ほぼがっつり長編。

消えてしまった首なし死体、切断された少女の首と指。

生き人形師が登場する段階で、トリック(というかアリバイ工作)に生き人形が絡んでくるのだろうなと予想していたのですが、いやはや……まさか、そういう展開とは思いもしませんでした(どういう展開だ)

いや、入れ替わりトリックはありましたし、やはり怪しいと思っていたあの時点であのキャラは殺されていたところまでは合っていましたが、真実はこちらの想定以上に複雑でした。

まさかのそんな複雑な入れ替わりとは……

 

しかも、ペット的助手くんが使える罪人が妖怪として見える目が、今回は諸事情で上手く機能していないかもしれないという点も、話をややこしくするところに一役買っていて驚かされました。

ペット助手がより役に立たない展開という……こういう展開で持ってくるのが上手いなと。

彼の目を信用するかしないか、推理の肝にもなります。

もう本当に推理に対する作者さまの能力の扱い方が上手い。

 

新キャラも登場しましたが、こいつがもう本当に作中腹立たしくて腹立たしくてね。

どうしても助手くんの方に肩入れしちゃうから、彼の座を狙って来たこのキャラを好きになれなくて。

それどころか、実は彼は……という、彼自身にも色々謎が隠されていて、そちらにも驚かされました。

〇〇かと思っていたら、〇〇かよという(ネタバレ回避のための伏せ字、一応別々の言葉が入ります)

終盤は色々な意味で仰天するかと思います。

 

エピローグでは、更に別の新キャラ?も登場。

気になる登場するだけして早々にご退場という、不思議な登場した彼が、今後どう作中に絡むのか。

続きが本当に気になる作品です。

 

惜しむらくは、今回は紅子さんの活躍シーンが極端に少なかったことでしょうか。

彼女も大好きなので、是非とも次回は活躍の場をお願いしたい所存です。

まあ、彼女は登場するだけでおいしいキャラではあるのですが……

魔法卿城の優しい嘘 銀の執事と緋の名前

 

魔法卿城の優しい嘘 銀の執事と緋の名前 (角川ビーンズ文庫)

魔法卿城の優しい嘘 銀の執事と緋の名前 (角川ビーンズ文庫)

 

2018/11/10読了。

 

ヒーローの印象の変化が楽しい作品でした。

最初は主人公のメイドの少女に対して厳しい毒舌執事。

中盤は、口は悪いながら面倒見のいい同僚。

素直ではなく、純粋な褒め言葉に弱くて照れやすい性格が見えてくる。

そして終盤では、凄腕の執事としてではなく、年相応で不器用な青年(寧ろ少年のイメージに近いか)に見えてくる。

読了後に表紙のイラストを改めて見ると、第一印象と読了後との彼のギャップに微笑ましさまで感じてしまいました。

作中で主人が言ってましたが、彼は主人公の少女に出会ったことで、背伸びをすることを止め、本当の彼として振る舞えるようになったんだなと、そんな成長を見守ることができて胸いっぱいになったと言いますか。

作中でこれだけ印象がいい意味で変わるヒーローというのは、なかなかいないのではないでしょうか。

そういう意味でも、本当に読んでいて面白い作品でした。

気分は完全に見守る近所のおばさん感覚でしたが。

 

魔法使いが実在する世界観ですが、魔法使いは万能ではなく、魔法を使うには色々条件があって、それを推理することで侵入者の対処方法とするところは、ミステリを読んでいるようで楽しめました。

また、主人公の少女の出自に纏わる謎を絡めて「自分がどう生きていきたいか」模索するところにも惹かれました。

彼女は生きていく上で必要なことは亡き母に教わったけれど、そこから自分がどう生きるのかまでは見つけられずにいた。

そんな中、自身を偽らずに生きていける優しい街、優しい主人、優しい同僚たちと出会えて、ありのままの自分を受け入れ、更に自分がどう生きていきたいかという「欲」も持てるようになった。

その成長が本当に嬉しくて。

ヒーローの成長もまさにそれですが、背伸びせず、無理をせず、ありのままの自分で生きていけることの大切さを教えられた気がします。

この辺りが、作品のテーマだったのかなと思います。

主人公もヒーローも、他の優しいキャラたちも、別の場所で何かしら迫害を受けてきた人たちですから、彼らが彼ららしく過ごせていることが、本当に素敵で。

いい街で、いい人たちだなと思います。

(要するに、いい作品である)

 

魔法使いに盗賊に某国の陰謀も絡んだりと、内容は濃く盛りだくさん。

不器用な主人公たちの仄かな恋愛模様も楽しめます。

終盤は逆にヒーローの方が弱気になる辺りがギャップ萌えでたまらんかったですよ。

序盤あんなに毒舌吐いていたのが嘘のようだ……

ヒーローの嬉しくも微笑ましい変わり様にニマニマしながら読んで欲しい作品です。

まさかあんなに可愛いツンデレになるなんて、想像してなかったよ。

たまらん。

神様の跡つぎ -きみと過ごした奇跡の夏-

 

神様の跡つぎ -きみと過ごした奇跡の夏- (メディアワークス文庫)

神様の跡つぎ -きみと過ごした奇跡の夏- (メディアワークス文庫)

 

2018/11/02読了。

「神様の跡つぎ」というタイトルですが、どちらかというと「神社の後継ぎ」の物語だったなと読み終えた今は思っています。

 

自分より出来が良かった、神社の後継ぎにと望まれていたであろう双子の弟が「神隠し」のように忽然と姿を消してしまって十年。

いよいよ神社の後継者の儀式を行わなくてはいけなくなった直前、主人公は神様の後継ぎだと名乗る青年と出会うが果たして。

 

鎌倉が舞台ということで、源頼朝義経兄弟とこの双子の兄弟を見立ててる部分もよかったですし、兄が本当に弟想いで、喧嘩っ早いですが、それは決して自分のためでなく人のために拳をふるってるし、誰よりも神様のことを信じてる一途な想いに打たれました。

ただそんな彼に対しての世間の評価は厳しく、彼も今更真面目になる気は(当初は)さらさらなく、周囲からの苦言が非常に耳に痛い部分もありました。

どうしても、主人公がこの兄ですから、彼に感情移入する訳で、彼の弟への想いが本当に尊くて、果たして自分はここまで自分の兄弟に対して思えるだろうかと考えてしまうほど。

だからこそ、ラストの突きつけられた真実には、本当に泣けました。

 

いやまあ、予想はついていたのです。

神様の後継ぎとして現れた「シン」の正体。

そして、彼の本当の目的……予想はできてはいましたが、回避不可能な涙でありました。

また、最後の最後に決意して、真面目になった彼の背を押す風がまた泣けました。

最後に更にトドメをさしてくるとか、鬼かと。

 

これは前述通り、問題児だった主人公が、神社の後継ぎとして決心するための物語。

そして、再会と別れの物語です。

僅か4日間の奇跡の時間、しみじみ味わってほしいです。

成巌寺せんねん食堂 おいしい料理と食えないお坊さん

 

2018/10/30読了。

序盤、主人公は成巌寺の兄弟のどちらと恋愛的フラグが立つのかなと思っていたのですが、やはり弟の方でしたか。

兄に対してはアイドルを崇拝するかのようなミーハーぶり。

弟に対しては、読書仲間で、ある意味遠慮なく言い合える(寧ろ悪態を吐くことが多い)仲でしたから、そうだろうなとは予想してはいました。

ただ、途中でその弟くんに結婚を考えている相手(無論それは主人公ではない)がいることが判明し、主人公同様に随分ヤキモキする羽目になりましたが。

 

ただ、読み終わった後に思うことは、この兄弟、只者ではなかった。

特に弟、あんた怖いよ。

執念だよ。

 

本筋は、まもなく東京での職を辞める主人公が、故郷の寺と仲見世の間で勃発した問題の解決に乗り出すという話ですが、これは寂れてしまった町や村をどう盛り返していくか、所謂村おこしにも通じる話で興味深かったですね。

その中で登場人物たちの葛藤と言いますか、心情の変化を見ていくのも面白かった。

 

主人公の家は元々精進料理を提供するお店で(作中に登場するお料理が逐一美味しそうなのは流石作者さまと言ったところか)ただ、料理の才能は主人公の方があるけれども、跡取りとして望まれたのは弟の方で、姉は姉なりに、弟は弟なりに悩みがあり、ずっと心に抱えていたものがあったというのが、こう深いなあと。

そんな主人公の気持ちを、家族より誰より寺の弟くんが理解していたというところがトキメキポイントでもある。

これ、絶対彼女に惚れてるやろと確信した場面でしたね。

 

ただ、前述通り、この弟くん、中々の策士でして。

終盤で明かされる事実に、寧ろストーカー的怖さを覚えるほど。

寺の次男坊なのに、修行先では料理番をしていたこと。

主人公の趣味に合わせて本を用意していたこと(貸し借りをよくしていた)

主人公が家族にすら打ち明けていなかった仕事を辞める件について何故か知っていたこと。

これらの謎が一気に解き明かされてた時、色々な意味で鳥肌ものでした。

ある意味ホラーよりも怖いものを感じました。

怖い、怖いよ弟くん。

あのぞっと感は、忘れがたき感覚でした。

 

まあ、主人公も弟くんも互いに素直になれない体質なので、この先どうなるか分からない感じで終わりましたが、二人らしい展開だったかなとは思います。

一応、寺と仲見世との間での決着はつきましたが、そこから盛り返していくのか、それともやはり寂れていってしまうのか。

未来はどうとでも取れるラストだったので、読者側が好きに想像できる余地があったところもいい読後感というか、余韻でした。

個人的には、弟くんがさっさと主人公のところに婿入りすれば話は早いなと思ってはいますが。

そのための修行だったんだろ、君。

契約結婚はじめました。3 椿屋敷の偽夫婦

 

契約結婚はじめました。 3 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 3 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

 

2018/10/27読了。

香澄さんの元婚約者がすみれ荘に越してきて、話がよりややこしいことに。

今更彼に出てこられても、当の香澄さんの気持ちが若隠居に向いているからな。

正直、さっさと馬に蹴られて以下略と思ってしまいました。

ごめんよ。

 

でも、彼の登場のお蔭で、若隠居が自分の気持ちを自覚してくれたし、そのために行動するようにもなったので、嬉しい変化を見ることができました。

ただ、如何せん、香澄さんの気持ちに気づいていない辺りが、朴念仁なんですけど。

まあ、香澄さんは香澄さんで若隠居の気持ちに気付いていないから、おあいこか。

これ以上ややこしくならないことを祈るばかり。

 

今回は気持ちの変化だけでなく、すみれさんにも事情がばれたけれども、彼女(?)もまた見守る立場になってくれてよかったなと、他に嬉しい変化があってよかったです。

理解者と、二人の恋を見守る仲間が増えて心強いといいますか。

早く本当の夫婦になってほしいものです。

 

エピソードとしては、特に冒頭の椿の物語が素敵でした。

こちらの恋もうまくいってくれてよかった。

一方、すみれ荘側の方はそうもいかなかったようですが……

今回もすみれ荘視点の物語で、よりサブキャラクターの掘り下げが来たのもよかったです。