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いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

カロリーは引いてください! ~学食ガールと満腹男子~

 

 2017/05/18読了。

「満腹男子」とあるが、寧ろ彼はずっとお腹を空かせていた気はする。

 

ある大学の学食で働く主人公(20歳女子)の幼馴染みは昔は病弱で痩せこけてた、現在は108kgの巨漢かつ柔道黒帯という逞しいお坊ちゃま(大学2年生)

巨漢以外は何もかもがハイスペックな彼の日々の食事を作りながらダイエットを促すが、何故か彼は大学で起きた騒動を解決するばかりで……

 

このおデブお坊ちゃまが本当にハイスペックなおデブさんで、「僕は○○なデブです」とデブをポジティブに捉えて、何だか妙に好感が持てました。

(例えば「俊敏なデブです」「ITデブです」など○○には大体得意なことが入り、大体間違っていない)

こんなハイスペックなおデブさんは、某コロシアイゲームの豚神さまとかしか見たことない気がしますが、それはさておき。

 

探偵役の彼がこんなキャラしてますので、主人公との会話はコメディ的で漫才見ているようで非常に面白かったです。

特に。

「人によっては下品と感じることかもしれないですが、どうしても我慢できないんです」

「ど、どうしたの?」

「かけてもいいですか?」

「か、かけて?」

このやり取りで非常にドギマギしている主人公が可愛いし、無自覚で凄いこと言ってる彼がもう面白く。

(無論いかがわしい内容では着地しない)

 

主人公は主人公で、料理はできる女子なのに結構血気盛んなところがあり(時々なまはげみたいになる)主役2人が個人的には本当に好みのドツボでした。

 

学園ミステリとしても楽しめる内容で、短編が5話分と様々な事件が登場します。

強盗に美人局という犯罪から、学園祭のミスコンに関わるトラブルという学園あるあるな事件まで、おデブさんがスパっと解決していきます。

全く本当にハイスペック!

1話1話がそこまで長くないですけれど、ミステリとして軽すぎるという感じは受けませんでした。

軽めのものもありますけど、食堂の厨房で起きた事件などは、その動機を探るという面で非常に面白いミステリでしたし。

 

キャラも立ってるし、ミステリとしても楽しめるし、いい作品だったと思います。

本当に自分の好みに合った作品で、読書が楽しかったです。

是非シリーズ化して欲しい作品。

最後の最後で少し痩せた彼が、何故痩せたのか。

その理由を、主人公が気付くところまでは少なくとも読みたい!

そう、この2人の幼馴染みで姉弟のような関係性の進展も個人的には気になるのです。

「太ってる人は恋愛対象にならない」と主人公に言い切られた後の彼の奮闘を考えると涙が禁じ得ない。

ハイスペックなのに、何故そこはへっぽこなのか。

頑張って欲しい、応援しますわ、おぼっちゃま。

事件記者・星乃さやかの涙

 

事件記者・星乃さやかの涙 (PHP文芸文庫)

事件記者・星乃さやかの涙 (PHP文芸文庫)

 

 

2017/05/15読了。

「午前0時のラジオ局」で知られる現役アナウンサーな作者さまによる新作。

いつもはオカルトネタが絡むのですが、今回は幽霊も死神も出ません。

普段より大分ミステリ色が濃くなっています。

そして、主役の生命の危機度も上がっております。

3つの事件が出てきますが、基本的にさやか嬢は毎回生命の危機に遭遇してますから。

しかも、過去の出来事から、割と生に執着のない人だから困る。

 

主人公のさやか嬢は「午前0時のラジオ局」と同じラジオ局に勤める事件記者。

(なので、「午前0時のラジオ局」のキャラクターも一部登場はする)

現場に出向いて事件を取材するので、ラジオ局内の話がメインな「午前0時のラジオ局」とは違って、フィールドワーク(!)している感じですね。

違った視点からラジオのことを見られた気がします。

 

そんなさやか嬢ですが、何とも男勝りな車に乗り、すっぴんなお姿と男前な感じなのですが、如何せん涙もろい。

場合によっては犯人にまで感情移入して泣いてしまうほどの感激屋さん。

この外見と中身のギャップが大変可愛らしいキャラクターでした。

どの作品を読んでも思うのですが、このあたりのキャラクター造形は、やっぱり作者さまの優しい人となりが出てるんだろうなと思います。

 

そんな彼女ですが、本当に辛い過去もちでして、そこが本編を通じて段々明らかになってくるところも面白かったです。

冒頭にある事故の話も絡んできますしね、全体通して伏線になっていた感じがします。

 

事件に関しては、今回は3つ。

しかも最初の話は、途中までオカルト? と思わせる展開で驚きました。

オカルトなしと聞いていたのに、あれ? と。

スリードを誘う部分もあり、オカルト方面から一気にミステリに引き戻される感じ、癖になりそうでした。

この展開は、3つの話の中では個人的には一番好きでしたね。

がっつり推理できる話もあり、ミステリとしても十分楽しめる仕様で満足できました。

 

さやか嬢の過去に関わる話も最後に登場し、彼女が抱えていたトラウマも一応は克服する展開ではありますが、彼女に関わるある人物の消息がはっきりした訳ではなく、まだ謎も残っている感じがします。

(精一杯ネタバレに配慮した結果、あいまいな表現)

全てが全てきっちり明らかになった訳ではないので、続編があれば、このあたりも少し掘り下げた話が読みたいところ。

さやか嬢の周りも、1話目、2話目で仲良くなった人も集ってきましたし、キャラクター同士の繋がり、世界の広がりも見えてきたところなので、この人たちもより参加させた続編とか是非期待したいです。

 

でも、何より「午前0時のラジオ局」の続編も読みたいのですが。

出ないかなあ、続編。

 

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし

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黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です

 

黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)

黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)

 

 

2017/05/10読了。

それにしても、この主人公、猫を得る代わりに色々失いすぎな気がする。

自分なら、もう二度とあの店に出入りできないし、同級生にも会えない。

イケメン猫どものギルティっぷり半端ない。

 

アラサーで大手の会社から解雇されてしまった元契約社員の主人公は、ひょんなことが縁である喫茶店にの住み込み店員に。

その店の店長はイケメンだが口が悪い。

でも、実はこの店長は主人公が助けた黒猫だった。

 

猫語が分かるようになってしまった主人公と猫たちが織りなす出会いの物語、そしてミステリ。

この世界の猫たちは人間に化けるのくらい普通らしい。

ただし、人間と生肌が触れると猫に戻りますが。

しかも猫から人間になる際は真っ裸。

主人公は何度ラッキースケベ(主人公にしてみれば不本意なアンラッキースケベ)を体験したことか。

しかも主人公が悪漢に絡まれた時は、この真っ裸なイケメン猫たち(人になっていた)がアクションを見せるという。

アクション見せてるのか、ナニ見せてるのか分からない状況。

ハラハラ場面だったのに、妙に笑えました。

 

しかも猫たちは人間の世界の常識を知っているような知らないような。

お陰で誤解を招く発言が連発。

「俺の飼い主だ」「首輪をしてほしい」「夜は抱いて寝ろ。温かいぞ」などなど。

人型で言うから、誤解を招く。

お陰で本当に主人公は色々失っていきます。

物理的にではなく、精神的に。

ご愁傷様と言わざるを得ない。

 

ちょっと謎解き要素も入りますが、基本的にはコメディかなと思います。

シリアス話でも猫たちのお陰で笑えて、読後感は悪くないです。

ただ、アラサーの子が主人公ではありますが、落ち着きはないので、ライトノベルな感じで軽くはあります。

なので、さらっと読めますが、キャラクターで読ませる作品が苦手な方は少し物足りないかもしれません。

濃いキャラクターがわちゃわちゃしているのがこの作品のイメージですので。

京都西陣なごみ植物園

 

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

 

 

2017/05/10読了。

大好きな作家さんの新作、楽しみにしておりました。

いつものように京都が舞台ですが、今回はあやかしなどのファンタジー要素が一切入りません。

府立植物園の新米職員と「植物探偵」を名乗る花屋の女性が登場する植物に関わるミステリです。

 

ページ数がすごく多い作品ではないのですが、全6話構成、そのどれもが謎の答えが気になる話ばかりと読み応えは実際のページ数以上。

子供が見つけたという逆さまのチューリップの正体は。

彼氏の短歌と思い出の食い違いの理由は。

副題にある通りの「紫式部の白いバラ」とは果たして何か、などなど。

各話のタイトルからして「私、気になります!」状態になること請け合いで、流石仲町さんの作品だなと妙に納得してしまいました。

 

「からくさ図書館来客簿」の時も思いましたが、植物の描写も優しくて綺麗でして。

植物が好きなんだなという気持ちが伝わる描写も見ものです。

今回は、作中でキーとなった植物に関してはイラストも入っているので、親切仕様となっています。

 

個人的には、短歌の彼の話と桜の染め物の話が特に印象深かったですね。

前者は純粋にミステリとして面白かったですし、後者はとにかく染め物の描写が綺麗です。

 

ミステリとして勿論面白いですが、植物探偵を名乗る妹(何故か闇鍋的料理を作るのが趣味)と花屋を切り盛りする姉(姉はがっつり京都弁)の姉妹のやり取りも微笑ましいですし、そんな妹と新米植物園職員のほんのりな恋愛模様など、キャラクターにも見どころが。

特に恋愛は、姉と一緒に生温かい目で見守りたくなるほど。

読者側にはさらっと気持ちをオープンしてくれたのに、肝心の相手には伝わっていないこのもどかしさがたまらない。

今回だけでは、ミステリとしては決着しても、恋愛面では決着がついていないので、もしシリーズ化するなら、その点も楽しみにしたいですね。

 

とにかく、癖なくさらっと読めるけどミステリとして十分読み応えのある作品です。

植物好きな方ならより楽しめると思いますので、ぜひぜひ。

 

そういえば、作中に出てきた「源氏物語の植物」に関する資料が、実際の府立植物園で見られるんですね。

ちょっと気になるので、機会があれば府立植物園にも行ってみたいものです。

資料片手に巡ってみたいです。

後宮香妃物語 龍の皇太子とめぐる恋

 

 

2017/05/08読了。

毎回言ってますが、ビーンズ文庫は中華風ファンタジー多いですね。

中華風な後宮もの。

食傷気味といえば食傷気味なのですが、ただの中華風ではなかったので、個人的には楽しめました。

 

香士であった亡き父の汚名をそそぐために一年後に皇帝への即位が決まっている皇太子の後宮へ上がった主人公。

絶対嗅覚を武器に父が完成させたという幻の香を再び作ろうと奔走する主人公だが、後宮は敵だらけのトラブル続き。

しかも、香士は女性ではなれないというのに、後宮に上がった目的が皇太子にばれてしまうが……

 

女性の活躍が認められない国で頑張る少女の奮闘話であり、無自覚の恋物語

皇太子とは以前から因縁があるのだが、主人公は諸事情で(本当に諸事情で)忘れてしまっている模様。

初恋を大事にして見守っている皇太子がいじらしかったです。

普段は主人公に対して口悪いですけどね。

でもいっちょまえに他の野郎と一緒にいると嫉妬するという。

読者には説明されるまでもなくバレバレなんですけどね、主人公が本当に鈍くて気がつかないのだ。

しかも、これまた無自覚ながら男性の仲間増やしてますし。

 

主人公は本当に色々面倒な目に遭ってますがへこたれず、香の力を信じて他人のために頑張れるいい子で好感が持てました。

ちょっと世間知らずで、暴走しているところもありますが。

そんな彼女をよくぞ守ってくれました男性陣。

 

途中、皇帝の毒殺未遂事件も持ち上がり、犯人を探すミステリ要素も絡んできます。

まあ、予想通りのキャラクターが実行犯だったのですが。

ただその背後にいる黒幕はまだ見えてきませんし、主人公が目指す道はまだ始まったばかり。

皇太子の初恋が実るかどうかもきになるところです。

主人公の自覚が早いか、思い出すのが早いか、皇太子が過去の因縁関係なしに主人公を落とすのが早いか。

続きが気になります。

いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約

 

いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約 (角川ビーンズ文庫)

いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約 (角川ビーンズ文庫)

 

 

2017/05/03読了。

シンデレラのいじわる義姉の実際は、自分のことは二の次で、義妹のために世話を焼きまくるいい人だった(但し口は悪い)というユニークな設定だった物語の続編。

シンデレラが無事に王子様と恋仲になってめでたしめでたしになった、その後の物語。

 

今度は副題にある通り「眠り姫」が題材。

糸車や老婆、茨はないけれど呪いの話など、眠り姫のモチーフは出て来ますが、さすがに100年寝たりはしません。

病弱ですぐ寝込むので「眠り姫」の異名を取る王族のお姫様が出て来ます。

しかも彼女が他称いじわる義姉の恋のライバルになります。

その後、ある意味一番の理解者になりますが、まあそれはさておき。

シンデレラは実は家事好きの勉強嫌いのワガママっこ、いじわる義姉は前述通りと定番の裏を行くキャラ設定なこの作品では、無論「眠り姫」にも裏の顔があり、実は……そこは、本編を読んでくださいと割愛しておいて。

 

前作は確かいじわる義姉は妹のために、要は他人のために自分を蔑ろにしてまで頑張る話だったうように思いますが、今回は(王族になる妹のためというのもあるけれども)自分のために、特に自分の恋愛のために頑張る話だったように思います。

まあその原動力も、妹に恥をかかせたくない、幼馴染みの隣に立っても恥ずかしくない自分になりたいという、他人に軸を置いた考え方からではありますが。

もっとワガママになってもいいとは思いますが。

他人の視線に立ち、他人のために頑張れる、例えそれが自分を快く思っていなかった「眠り姫」のためだとしてもできてしまう彼女が凄いです。

そりゃ、幼馴染みも惚れるだろう。

 

そんな幼馴染みは「眠り姫」との婚約話が持ち上がるし、後半はすれ違って辛い展開になりましたが、騒動を乗り越えてようやく彼女が自分の気持ちを優先させたことで、無事に2人が結ばれた時は感無量でありました。

7年越しの片思い、成就おめでとう。

どうやら周りにはモロバレだったようですが。

「眠り姫」が不憫だ……義姉は終盤近くまで無自覚だったし。

馬に蹴られて……な役回り、お疲れ様でした。

 

一応前回で完結していたところを続編で無事に2人の恋に決着がついたところまで見られてよかったです。

これで改めて完結とのことですが、個人的には満足できるラストだったように思います。

欲を言えば、3姉妹の次女の話をもう少し読んでみたかった気もしますが。

今回も色々姉妹とのため、いい働きをしてくれた彼女ですので。