いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。

お飾り聖女は前線で戦いたい

 

お飾り聖女は前線で戦いたい (角川ビーンズ文庫)

お飾り聖女は前線で戦いたい (角川ビーンズ文庫)

 

 

2017/11/14読了。

今回もシリアスとコメディの塩梅が絶妙でした。

小説を読んでいるのに、まるでギャグ漫画を読んでいるかのような錯覚を覚えるほど。

 

特に主役を食う勢いの元聖女なお母様のポテンシャルが半端なかった。

ヒーローを玩具認定し、扱いの難しい双子キャラを下僕にし、主人公を差し置いて囚われのヒロインを演じつつ、今回の(某一族のお家騒動以外の)件の発案者というか黒幕というか。

主役たちを最後まで手のひらで転がして笑ってた気がしました。

恐るべしお母様。

 

癒しの力を持つ聖女であることを伏せて女性騎士として働いていた主人公に降りかかった試練は、女性騎士として聖女の成人の儀の旅に同行すること。

しかも直前に氷騎士と称される上司の騎士隊長に正体が露見。

なぜか主人公に対して超絶過保護な氷騎士の手助けを得て何とかこの旅を乗り越えようとするが……

 

この氷騎士が本当に氷かとツッコミ入れたくなるほど主人公に激甘でして、氷だった場面は本当に片手で数えられるくらいしかなかったような気がします。

また真面目で天然さんだから、まあ主人公の母上の餌食になりがちで……気の毒な。

最初から最後まで一番手のひらで転がされていたのはこの隊長な気がします。

本当にお気の毒様。

 

展開は前述通りコメディとシリアスを上手く使い分けながら、読み手側がこういう展開ならいいのにと思う方向へ持って行ってくれた感じがしました。

互いへの気持ちに無自覚な主役2人の無自覚ないちゃつきやら、身分違いの恋に悩む2人やら、嫉妬してしまって挙動不審になる隊長やら、クライマックスでの九死に一生な展開やら。

もう本当に読みたい展開を全て詰め込んでくれた気がします(当社比)

王道と言えば王道でしょうか。

 

最後も期待を裏切らずにコメディ路線からの大団円。

氷は本当にどこへ行ったなゲロ甘な隊長とどうぞ末永くお幸せになラストが待っております。

これ盛大なネタバレかな。

 

前作が1冊では完結しない仕様だったのがで正直もやっとしていたのですが(1冊でも読める仕様にしないのであれば、上下巻などの表記が欲しかった前作)今回はばっちり1冊で完結しているので、読後感は爽快です。

また後日談の短編も収録されています。

聖女と騎士の二重生活、大丈夫そうで何より。

これからもコメディとシリアスを織り交ぜて魅力的な作品を作れるという持ち味を生かした作品を楽しみにしています。

お弁当代行屋さんの届けもの

 

お弁当代行屋さんの届けもの (富士見L文庫)

お弁当代行屋さんの届けもの (富士見L文庫)

 

2017/10/28読了。

たまたま最後の話をバス待ちしていた雨のバス停で読んでいたんですが、その時までずっと我慢していた涙が我慢できなくなって、上を見上げないと堪えきれなったという貴重な(?)体験をさせていただきました。

全3話からなるこのお話、どの話も結構泣けるんですけど、最後の話は特に涙腺に来ました。

仲が良かった筈の夫婦に突然訪れた熟年離婚の危機。

その理由が、互いを思いやっての夫婦愛から来てただなんて……駄目ですわ、それだけで泣ける。

 

本題から逸れた。

一流のシェフ経験のある女性が彼女を慕う甥っ子(※血は繋がっていない)を助っ人に「お弁当」に関する難しい依頼をこなしていく物語。

卵・小麦・牛乳アレルギーのある息子を残して亡くなった母の代わりにお弁当を作って欲しい。

余命幾ばくもない祖父のため、10年前に亡くなった祖母のお弁当を再現してほしい。

そして、お花見弁当を自分が作ったように見せかけて作って欲しいと依頼した男性に訪れた熟年離婚の危機。

どれも通常では解決するのは難しいものばかりです。

無論、主人公たちはあっさり解決できる筈もなく、甥っ子の類まれなる探偵能力も活かして、大体1回は失敗しながら乗り越えていきます。

まあ、完全に解決しきらない話もあるのですが(現実はそう甘くない)

 

作者さまもアレルギーもち、体調不良だった経験がありということで、特に最初の話は実感が伴った話になっていた気がします。

依頼者の男性が抱えた本音の叫びがよりこちらの心に響くと言いますか。

お弁当は「料理だけでなく、作り手の思いも届けるもの」

それが強く感じられる作品だったと思います。

 

また主人公(といっていいのかな。視点がバラバラ変わるから、甥っ子が主人公とも取れるけど)のシェフの女性も色々抱えていますし、そんな彼女に好意を寄せている甥っ子との関係性も読んでいて気になるところでした。

シェフにも最後の最後のエピローグで、少し救いがあります。

これまで頑張ってきましたからね、作者さまからのご褒美でしょうか。

欲を言えば、甥っ子にも何かご褒美があればよかったのですが。

頑張れ、甥っ子!

 

お弁当が持つ力を信じてみたくなる、そんな作品でした。

結構心に来る話でもあるので、泣けますよ。

心もお腹いっぱいになりたい方、ぜひどうぞ。

「神社」で読み解く日本史の謎

 

「神社」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)

「神社」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)

 

 

2017/10/16読了。

伊勢神宮厳島神社出雲大社靖国神社などの有名どころの神社に纏わる歴史のあれこれを全20章+コラム(簡単な紹介)13章に渡って紹介した1冊。

自分も訪れたことのある神社で、実は昔こんな歴史的事件が起きたとか、危機的状況に陥ったとかが分かるのがいいですね。

実際にその神社に訪れる前に、こういう背景や歴史を知っていくと、より神社に親しみが持てると思います。

 

コラムの方は、最初の2つがいきなり新選組絡みで個人的には嬉しかったです。

ただコラムの話は本当に簡易的な紹介なので、コラムのタイトルの内容がきちんと示されているかと言えば、そうでもなかったりします。

いや、書かれてはいるんですが、いざ読み終わった後に改めてタイトルを見ると、自分の中でそのタイトルが示した疑問に対する答えが出てこないという。

そこがちょっと難点かなという気はしました。

 

個人的には宇佐八幡宮の神託事件と、白峯神社と崇徳天皇に関する話が印象深かったです。

前者は男女の愛憎が絡んだ話、後者は御霊信仰に関わる話ですね。

我ながら悪趣味な選択な気がしないでもない。

どちらもまだ行ったことがないので、この話を知った上で実際に行ってみたらどう感じるのか、今から楽しみだったりします。

逆転裁判 時間旅行者の逆転

 

逆転裁判 時間旅行者の逆転 (ハヤカワ文庫JA)

逆転裁判 時間旅行者の逆転 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

逆転裁判」シリーズ15周年記念のノベライズとのことですが、ゲーム内容のノベライズではなく完全オリジナルストーリー。

前半はなるほど君の時代から15年前を舞台に御剣検事の父、信さんが弁護士として狩魔検事とある殺人事件を巡り法廷バトルを繰り広げます。

後半はなるほど君と御剣検事が、15年前の殺人事件にも繋がる現在での殺人事件に挑みます。

信さんが出てくる辺り、逆転裁判ファン泣かせな気がします。

お馴染みのまよいちゃん、矢張、冥ちゃん(子供時代)に糸鋸刑事などのサブキャラも登場しています。

 

どちらの事件も「タイムマシン」及び「コールドスリープ」という未来の技術が絡んできます。

この2つの技術は「実現可能か」「存在を認めるか」これをどう判断するかが事件解決に大きく影響してきます。

逆転裁判だからいいものの、普通のミステリでは禁じ手かなと思わないでもないです。

現実ではあり得ませんから。

 

無論、なるほど君たちも「そういう技術はあり得ない」路線で事件解決を図るのですが……そう簡単に問屋は卸さない。

なかなか複雑な内容となっていますので、読み応えはあります。

 

が、読み応えがあるのと内容に納得できるかは別問題でして。

ネタバレを承知で言ってしまいますが、この話、最後まで読んでもすっきり解決はしません。

逆転裁判なのに、判決が出ません。

真犯人を最後まで問い詰めることができないので、事件の全容も想像の域を出ないという。

 

逆転裁判の魅力は(特に初期シリーズは)真犯人を法廷で倒して無罪判決を勝ち取る爽快さにあると思うのですが、このノベライズではその爽快さを求めることができません。

もし回収されなかった伏線があったとしても、後々の話で回収されますから、全クリする頃にはすっきりする筈です。

しかし、このノベライズは、後程の話(例えばノベライズ2冊目などの手段)で回収することすら諸々の事情で無理という(流石にこの詳細を書き記すのはネタバレが酷くなるので伏せ)

 

何より本家でもそこまでぶっ飛んだオチ(限りなくSF寄りなオチ)にはしなかっただろうという展開も出てきます。

純粋な逆転裁判ファンになればなるほど「異議あり!」と言いたくなるかと。

キャラクター設定がぶっ飛んでいても、オカルトや現実ではあり得ない凄い機械が出てきたとしても、それは情報を集める上での手段に留まっていて、ミステリとしての謎解き部分は現実的なのが本家なんですが、このノベライズは以下略。

とにかくラストになればなるほど違和感が出てきます。

 

法廷でのバトルは本家さながらで面白かったのですが(特に前半の信さんと狩魔検事の話は最高に面白い)結末がなあ……「待った!」と言いたい。

逆転裁判ファンの方は、上記の点を念頭に置いて読んでください。

ヴァチカン図書館の裏蔵書

 

ヴァチカン図書館の裏蔵書 (新潮文庫nex)

ヴァチカン図書館の裏蔵書 (新潮文庫nex)

 

 

2017/09/11読了。

イタリアのヴァチカンに留学している主人公(大叔父が枢機卿)が若き神父と共にヴァチカン秘密記録保管所で資料探しに明け暮れる中、魔女狩りを思わせる連続殺人事件が発生。

昔実在した異端者集団も絡んで、その事件に知らず知らずに巻き込まれてしまう主人公は果たして。

 

作中に出てくるこの異端者集団、フィクションかと思いきや、実在していた(らしい)集団で驚いてしまいました。

そういった歴史的背景をしっかり踏まえているからでしょうか、思っていたより読み応えがありました。

 

魔女狩り的な猟奇的殺人の犯人は誰なのか。

主人公が無自覚で勘が鋭いのに(理由は最後で何となく把握できます)それを自分では解釈できない残念仕様。

だから、気付かぬうちに読者側に色々ヒントを振りまいていたのが(要は伏線を張ってくれていた)後々に分かった時には鳥肌が立ちました。

解釈役の神父さんがいて良かったですよ。

結局は後手に回りはしますが。

中盤は誰が味方で誰が敵なのかも分からなくなってくる感じなのも、ゾクゾクできて良かったですし。

大叔父さんが特に怪しかったですから。

最終的にはただの大叔父馬鹿だったので一安心しましたが。

甥のために現場まで来ちゃいますからね。

 

歴史を絡めたミステリとしても犯人探しも楽しい作品でした。

主人公の前述以外の能力は今回の事件の根幹に関わるものですが(故にこれは詳しくは書かない)今後も使えそうなので、続きも期待したいところ。

楽しみに待とうと思います。

見習い鑑定士の奮闘-京都寺町三条のホームズ(8)

 

見習い鑑定士の奮闘-京都寺町三条のホームズ(8) (双葉文庫)

見習い鑑定士の奮闘-京都寺町三条のホームズ(8) (双葉文庫)

 

 

2017/09/18読了。

葵ちゃんもホームズさんもそれぞれ高校、大学院を卒業(修了)ということで、人物紹介イラストも心機一転で始まった葵ちゃん大学生編。

と言いつつも、どちらかというとホームズさん武者修行編という。

 

折角2人で「蔵」を切り盛りできるかと思いきや、ホームズさんは前述通り社会勉強も兼ねての武者修行の旅に。

具体的には様々な場所での短期の仕事をこなしていきます。

美術館の学芸員(これがまた国内に限らずニューヨークにまで行っちゃうという)に社長秘書。

何でも人並み以上にこなしてしまうホームズさんは流石過ぎます。

 

まあそういう訳で、葵ちゃんも大学生になったというのに遠距離恋愛状態で、今回はあまり2人の絡みはないのかなと思っていたのですが……まあ安定の彼氏バカなホームズさんで。

数少ない葵ちゃんとの逢瀬中(※3話目は一時帰還中なので除く)にキャラ崩壊させまくってました。

周りがドン引きするほどってどないという。

読んでるこちらは大爆笑でしたが。

 

ホームズさんの方に重きを置いている感じだったので、葵ちゃんの大学生活の話も少なめになってはいます。

が、代わりにホームズさんの子供時代の話が暴露されたり(2話目が丸々過去話)決して褒められない恋愛遍歴が暴露されたり(葵ちゃんは「予想の範疇内でした」と言って一蹴……安定の酷さ←笑うところ)ホームズさん好きにはたまらない感じになっていたかと。

 

また、今回は短編集といったかつてのスタイルで、ここ最近の長編ではなかったので、読んでいて懐かしさも感じたり。

やっぱり、こういうスタイルの方が「寺町三条のホームズ」シリーズは個人的には落ち着くなと。

3話目は修業中のホームズさんも一時帰還で、ばっちり2人のクリスマス話も楽しめます。

どうやら過去に書こうとしてボツにしたもののリメイク作品だったようで。

より懐かしい雰囲気を感じたのはそのせいですね。

 

葵ちゃんの親友にまさかの恋愛フラグが立ったり(お相手がまさかすぎた)円生さんとホームズさんの小競り合いがあったりなど小話もあり、何とも内容の豪華な8巻でした。

ホームズさんの修行の旅はまだまだ続くようですが、果たしてどうなるのか。

それよりも、未だキス止まりな2人の関係がこの先どうなっていくのかも楽しみです。

何かどんどんホームズさんの中での「葵ちゃん天使すぎて手が出せない」度が増し増しなってるのが……頑張れ男の子。

神社で引き寄せ開運☆

 

 

2017/09/17読了。

所謂神社への参拝方法などのマナー本やハウツー本になるかと思いますが、書き方や視点が少し普通のその手の本とは違いました。

普段から神社ガイドをされている方が書かれた本なので「実際に神社にお参りする時に知っておいたら得する本」という感じでした。

そう、「得する本」!

知らなくてもお参りはできるし、その手の本を一冊でも読めば大体他の本も同じことが書かれてるから大丈夫だけど、この本はそういう本では補完ができない部分をフォローしてくれていた気がします。

無論、初心者向けの基本マナーも書かれてますが、より実践に近いことが書かれていたというか。

痒いところに手が届く内容と言いますか。

普通の神社参拝ハウツー本と併せて読んでいただければと思います。

 

特にありがたかったのは「お願いの仕方」

どうお願い事をすれば叶いやすいのか、根拠も併せて書かれていて役に立ちました。

おみくじや御朱印の保管方法などについてもアドバイスがあって助かりましたし。

女性らしい細やかな内容になっています。

 

神様が見えると仰る方なので、時々「うん?」と首を傾げる内容がない訳ではないですが(信じない人は信じない内容が書かれていることもある)その他は良書だと自分は思います。

もう少し踏み込んだ内容に触れたい神社好きの方、いかがでしょうか。