いこの読了本備忘録。

読んだ本の覚え書き、みたいな。キャラクター小説多め。※核心的なネタバレは極力避けてはいますが、苦手な方は予めご注意ください

霊能探偵・初ノ宮行幸の事件簿2

 

2018/08/09読了。
前回ラストで不吉な雰囲気を残していたのに、結局普段の行幸と美雨だったので、妙に肩の力が抜けた2巻。
ただ前回はほぼ全て美雨視点だったのに対し、今回はほぼ第三者視点からの話なので、物語により広がりが持てた感じがします。
しかも、今後行幸たちの「本当の敵」になりそうな存在も見えてきました。
何だかまだまだ終わりそうにない気配だ。
(てっきり2冊連続刊行だから、これで終わるのかと思ってた)

 

最初の宝石の話はミステリとしての謎解きが面白かったですし、扉を叩く幽霊が出てくるのはホラー的な要素とオチがまたよし。
行幸の妹の由良が幽霊に告白される(!)話は何だかんだで泣ける展開でしたし。
でも、やはり今回も最後の話が一番インパクトが強かったことは間違いないです。
前作から引っ張っていた顔を剥ぐ殺人事件に隠された謎に、由良に迫る危機。
そして目覚める美雨の力とは。
振り回されているばかりのミウッチの成長ぶりにもぜひご注目。

 

それにしても、ミウッチをからかう時の行幸は本当に楽しそうなのに、彼は今後彼女をどうしていきたいのか。
口ではあんなことを言いつつ、彼も悩んでいる部分があるのかもしれません。
楽しく読めるけれど、背景に漂うきな臭さは「日暮旅人」シリーズにも通じるところがあります。
こちらも同じようにハッピーエンドで終わってくれと切に願います。
今のところは、どうなればいいのか、皆目見当はつきませんが。

遺跡発掘師は笑わない 君の街の宝物

 

遺跡発掘師は笑わない 君の街の宝物 (角川文庫)
 

2018/08/06読了。
「遺跡発掘師」シリーズ初の短編集。
短編集と言いつつも、直前の話と繋がっている部分もあり、連作短編集な雰囲気もあります。
全編国内で、遠出していない時の彼らの普段の働きぶりも見られて満足。
無量と忍ちゃんの過去話もあります。
発掘現場にはある意味つきものかもしれないオカルトネタもあります。
遺跡に出てくる幽霊とは?
読み応え抜群。

 

個人的に多摩や土方さん(土方歳三)の話まで出てきたのは嬉しかったですね。
新選組話で盛り上がる中に加わりたかった。
カメケン主催の歴史ツアー、楽しそうである。
ツンデレな無量も存分に拝めたのもよかったです。

 

普段の長編は殺伐としているので、安心して(?)歴史や発掘の薀蓄を楽しめる短編集もいいですね。
またこういうノリの話も読んでみたいです。

霊能探偵・初ノ宮行幸の事件簿1

 

2018/08/03読了。
これまた随分と自信家でキャラの濃い探偵さんで(褒めてます)
一方ヒロインは小さくて泣き虫で、随分色々と振り回されてますけど、窮地もまさかの体力バカで乗り切ってしまうという。
ヒロインも違う方向にキャラが濃い。
まあ、美人な妹マネージャーも含め、メインキャラは総じて濃い。
ただキャラものだからと油断して読んでいると、結構怖くて度肝抜かれるという。

 

幽霊を残らず滅すると豪語する本職霊能力者、副職超一流アイドルの初ノ宮行幸に出会ってしまったアイドルマネージャーの美雨。
彼女は知らず悪霊を寄せ付けてしまう「渡し屋」の素質を持っていた。
その素質を買われ(?)彼女は行幸の事務所にヘッドハンティング(?)されることになるが。

 

何だろう、書いていて随分ツッコミどころ満載な内容になってしまった気がするけど、事実だから仕方ない。
霊能探偵ということで、アイドルながら幽霊絡みの話を解決していきます。
車を崖下へと誘う正統派の怖い幽霊から、お祝いごとがある度に耳元で「おめでとう」を囁く優しい(?)幽霊まで、内容は様々。
読んでいて鳥肌が立つ場面もあれば、感動で泣ける場面もあって、ただのホラーで終わらないところがいい。
まあどんな幽霊であれ、行幸は容赦ないのですけれども。

 

ミステリとしても面白く、またホラーとして怖かったのは、やはり最後のラジオ局での話でしょうか。
美雨に迫る危機も相俟って、非常に手に汗握りました。
振り下ろされる凶器、果たして美雨は。
まさかの展開に爆笑必至です(爆笑かよ)

 

とにかく怖いのに笑える、シリアスとコメディの塩梅がいいなと思っていたところに、最後の最後で今までのことを引っくり返す視点が入ってきて驚かされました。
メインキャラ以外の視点からあの状況を見ると、そうも取れるのかと。
しかも美雨の前では決して言わなかった行幸のある台詞の意味も気になるところ。
彼にとって美雨は味方?
それとも……?
先が気になる作品です。

いま蘇る縄文

 

いま蘇る縄文 (DIA Collection)

いま蘇る縄文 (DIA Collection)

 

 2018/08/07読了。

こちらも「いまこそ知りたい縄文時代 - いこの読了本備忘録。」と同じく2018年8月現在、東京国立博物館で開催中の特別展「縄文─1万年の美の鼓動─」に呼応して発売されたであろう中の1冊。

「いまこそ~」は縄文時代の生活スタイルや文化に関して解説してくださっていたのに対し、こちらは歴史的な話より「美術」的な視点から土器や土偶を解説してくださっていたように思います。

歴史本というより感覚的には美術本の解説本に近い。

 

なので、歴史的解説を期待して読むと、少し方向性が違うので戸惑うかもしれません。

ただ1万年に渡って続いてきた縄文時代の「芸術」がどう移り変わって来たのか、どういう想いが込められていたのかなど、背景や解釈を知ると、土偶や土器の見方も変わって来るのではないでしょうか。

そういう意味では縄文時代を見る視点をまた広げてくれた貴重な一冊になったように思います。

こちらも特別展を見に行く際の予習本、もしくは復習本にいかがでしょうか。

いまこそ知りたい縄文時代

 

いまこそ知りたい縄文時代 (TJMOOK)

いまこそ知りたい縄文時代 (TJMOOK)

 

 

2018/08/12読了。
2018年8月現在、東京国立博物館で開催中の特別展「縄文─1万年の美の鼓動─」に呼応して発売されたであろう中の1冊。
こちらは縄文人の「食」「住」「信」(信仰)「風習」にスポットを当てて端的にまとめてくださっています。
フルカラー写真や図解が多いのも嬉しい。
縄文時代のあれこれをさくっと知りたい方には本当にぴったりのムック本です。

 

一昔前の教科書で習ったことといい意味で違う内容も出てきますので(狩猟・採集中心の生活だけとは限らないなど)大人が読めば「お?」と思うこともあるのではないでしょうか。
結構凄かったんですよ、縄文人の技術!

 

巻頭には実際に特別展で展示されている物の紹介や学芸員さんの話も掲載されているので、予習本にも最適。
是非予備知識を仕入れてから特別展に行ってほしいなと思います。
その方がきっと楽しめる筈!

 

自分はまだ行けてないんですよね(予定には入れていますが)
早く可愛い土偶たちに会いたいものです。

法律は嘘とお金の味方です。

 

法律は嘘とお金の味方です。 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)
 

2018/07/26読了。
ビーンズ文庫での作品もただのファンタジーというだけではなく、ファンタジーの中にも謎解きやら謀略なども絡ませて奥深い作品を書かれる方なので、今回は法廷ものと聞いた時、不安なく絶対面白いだろうと確信して購入。
やはり予想通り、いや予想以上にがっつりミステリで最後まで楽しめました。

 

京都の弁護士事務所を舞台とした法廷もの。
なんちゃって京都もの(登場人物が京都弁を喋らない、京都である必然性がない作品のこと)が溢れる中、こちらは登場人物がしっかり京都弁を喋ってくれるので、京都という世界観にじっくり浸ることができました。
京都弁での会話が非常にテンポがよくて、読んでいて気持ちいいこと、気持ちいいこと。

 

主人公の女子高生が、嘘を吐いている人の表情が歪んで見えるという特殊能力は持っていますが、嘘発見器としての役割くらいしか果たしていないので、「あの人は嘘吐いてるけど、どういう理由で嘘を吐いたのか」という点や、場合によっては「長い会話の中のどの部分で嘘を吐いたのか」という点を推理する必要があります。
女子高生でまだまだ未熟という点も相俟って、ミステリとしての難易度調整に一役買っていた気がします。
「主人公Tsueeee!!」展開にならないのがいい。

 

またどの話も、どんでん返しな展開で、その爽快感も見物です。
一見、主人公側に不利な展開が続くんですけどね。
そこからのひっくり返し方が本当に気持ちいいのです。
個人的には後妻の話と、財布を届けた話がすっきり度高いと思います。
悪徳とも言われる弁護士な主人公の祖父がまたいいキャラしていて、的確に相手方の痛いところを突いてきますからね。
ある意味凄腕です。

 

法廷ものとしても無論面白いのですが、主人公の幼なじみであり検事(だけど何故か弁護士の仕事を手伝う羽目になる)な彼が抱えている状況も気になるところで魅力の一つ。
何故彼が検事になったのか、そして彼がずっと追いかけていることとは。
残念ながら、今回の話だけでは彼の件まではすっきり解決とはいかないのですが、もしシリーズが続くのなら、ここが明らかになることもあるのでしょうか。
是非、そこまで続いて欲しいなと思います。

 

京都弁のテンポのいい会話を楽しみつつ、謎解きとどんでん返しも楽しめる素敵な作品でした。
いやあ、やっぱり永瀬さらささんの作品、好きです(唐突な告白をしたところで終わる)